2012年 04月 08日
1Q84 |
昔から国語は苦手で、文学小説にはほとんど縁がない。それほど読むわけでもない本もすべてノンフィクションである。芥川賞の受賞作品などは一度も読んだことがないのだが、何故か文藝春秋誌の選評欄だけはいつも眺めている。特に、石原慎太郎のイジワル極まりない酷評は面白くて愛読していた。(今年を最後に選者から引退するというのは残念である)
そんな私でも、本屋で山積されている村上春樹の「1Q84」だけはいつも気になっていた。ただ、1冊1980円もするハードカバーの本が3冊に連なる長編は、つまらなかったらお金も時間も損するような気がして手を出すのは躊躇していた。Amazon の中古で安く手に入らないかと見ても、人気本だけに中古本のほうが高い値がついている。
それが、この4月に文庫本が発刊された。しめたと思って早速買って読んでみた。中々面白く引き込まれてしまった。話の展開と構成もユニークだが、世界的にベストセラーになっているという理由が、文学的に優れているのか、それとも世相に合っていて皆の興味を引いたせいなのかは、文学にはうとい私には全く判断ができない。
という訳で、せっかくの超ベストセラーを読んでもここで書評が書けるわけでもないのだが、ただひとつ面白かったのは、文庫本が出たとたんに、Amazonの中古本の値段が暴落して、2000円以上の値が276円になってしまったことである。これなら、2冊で1,180円の文庫本より、ハードカバーの中古本のほうが圧倒的にお買い得である。Amazon中古本の愛好者としては、新刊文庫本を買う前に、ちょっと調べればよかったと後悔した次第である。
Amazon中古本の値段の動きというのは実に面白い。前に、本学に特別講義に来ていただいた小笠原泰先生が言っていたが、先生の著書「何となく日本人」が、先生がテレビに出演した直後には、何と8000円の値がついたとのことである(今は780円である)。本の内容にはかかわらず、世の注目度と需要に応じて値が決まるようだ。世相に合わせて乱高下する株価のようである。
一方では、歴史的な好著に1円などという値がついているときもある。1円などという値段は、包装する手間代にもならないので、どういうしくみになっているのか不思議でしょうがないのだが、1円+送料250円で良い本が手軽に入手できるAmazon 中古本サービスは、本当にありがたい。このサービスのおかげで、ずいぶんと自分の読書量が増えたような気がしている。
<余談>中古品で面白い話というと、ブルーレイレコーダの年代の古い中古品には何故か高い値段がついている。実に不思議な話であるが、これには理由がある。それは、デジタルテレビ放送をブルーレイに録画してそれをPC上に映像として取り出すには、著作権保護の暗号をはずすハッキングをしなくてはならない。これはかなり難しい仕事のはずなのだが、世の中にはマメなハッカーがたくさんいてしばらく経つとハッキングプログラムが出回る。そうすると、製造メーカのほうも、対応策を講じて新しい製品ではより堅固に暗号を強化する。それを世のハッカーが解くにはしばらく時間がかかる。という訳でデジタルテレビ放送の映像を取り出してYou Tube などに投稿しようとすると、古いブルーレイレコーダが必要になり、その結果古い製品への需要が高まるという訳である。(1Q84とは全く関係のない余計な話ばかりで失礼。)
そんな私でも、本屋で山積されている村上春樹の「1Q84」だけはいつも気になっていた。ただ、1冊1980円もするハードカバーの本が3冊に連なる長編は、つまらなかったらお金も時間も損するような気がして手を出すのは躊躇していた。Amazon の中古で安く手に入らないかと見ても、人気本だけに中古本のほうが高い値がついている。
それが、この4月に文庫本が発刊された。しめたと思って早速買って読んでみた。中々面白く引き込まれてしまった。話の展開と構成もユニークだが、世界的にベストセラーになっているという理由が、文学的に優れているのか、それとも世相に合っていて皆の興味を引いたせいなのかは、文学にはうとい私には全く判断ができない。
という訳で、せっかくの超ベストセラーを読んでもここで書評が書けるわけでもないのだが、ただひとつ面白かったのは、文庫本が出たとたんに、Amazonの中古本の値段が暴落して、2000円以上の値が276円になってしまったことである。これなら、2冊で1,180円の文庫本より、ハードカバーの中古本のほうが圧倒的にお買い得である。Amazon中古本の愛好者としては、新刊文庫本を買う前に、ちょっと調べればよかったと後悔した次第である。
Amazon中古本の値段の動きというのは実に面白い。前に、本学に特別講義に来ていただいた小笠原泰先生が言っていたが、先生の著書「何となく日本人」が、先生がテレビに出演した直後には、何と8000円の値がついたとのことである(今は780円である)。本の内容にはかかわらず、世の注目度と需要に応じて値が決まるようだ。世相に合わせて乱高下する株価のようである。
一方では、歴史的な好著に1円などという値がついているときもある。1円などという値段は、包装する手間代にもならないので、どういうしくみになっているのか不思議でしょうがないのだが、1円+送料250円で良い本が手軽に入手できるAmazon 中古本サービスは、本当にありがたい。このサービスのおかげで、ずいぶんと自分の読書量が増えたような気がしている。
<余談>中古品で面白い話というと、ブルーレイレコーダの年代の古い中古品には何故か高い値段がついている。実に不思議な話であるが、これには理由がある。それは、デジタルテレビ放送をブルーレイに録画してそれをPC上に映像として取り出すには、著作権保護の暗号をはずすハッキングをしなくてはならない。これはかなり難しい仕事のはずなのだが、世の中にはマメなハッカーがたくさんいてしばらく経つとハッキングプログラムが出回る。そうすると、製造メーカのほうも、対応策を講じて新しい製品ではより堅固に暗号を強化する。それを世のハッカーが解くにはしばらく時間がかかる。という訳でデジタルテレビ放送の映像を取り出してYou Tube などに投稿しようとすると、古いブルーレイレコーダが必要になり、その結果古い製品への需要が高まるという訳である。(1Q84とは全く関係のない余計な話ばかりで失礼。)
by sakuraimac
| 2012-04-08 03:06
| 文学
|
Comments(7)
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sakuraimac at 2012-04-09 19:01
1Q84について何も書かないのも気が引けたので、少し書評を調べてみましたが、どれも今ひとつ。ちょっと興味を引かれたものをひとつだけ紹介させていただきます。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20091207.htm
http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20091207.htm
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村上春樹のデビュー作、「風の歌を聴け」が出版されたときの書評で激賞していたのが今は亡き、井上ひさし大兄でした。行間からjazzが聞こえてくるようで圧倒されました。以降、買い続け、読み続け、今にいたっていますが、残念ながら1Q84は家内に贈呈し我が家の書棚の好位置をキープしながら私が読むのを待っている状況が長らく続いています。「羊をめぐる冒険」までが素直に楽しめました。私のハンドルネームも村上作品の初期作品の登場人物をなぞったものであることを本日はじめて告白します。
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sakuraimac at 2012-04-10 07:10
jayjayさん、またまたコメントありがとうございます。さすが読書家のjayjayさん、ハンドルネームの由来からして違いますね。ノルウェーの森はいかがでしょうか。
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jayjay
at 2012-04-10 22:55
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「ノルウェーの森」も好きですね。村上春樹は小説の翻訳やエセーも書いていますが、「走ることについて語るときに僕の語ること」というエセーも好きです。ジャズバー・レストラン経営者から小説を書き始めた動機や日課のように長距離を早朝ジョグして体を鍛えながら小説を書き続けている創作の秘密も知ることができます。 今、もっとも読みたい彼の本は、最近出版されたマエストロ小澤との対談本で年計が終わったら読もうと思っています。 という具合で1Q84は益々私から離れていきます。
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sakuraimac at 2012-04-11 00:49
「小澤征爾さんと音楽について話をする」は、実は先日、私も買って読みました。(お先にすみません。まだ全部は読み終えてはいませんが。)
そこで、村上春樹さんの音楽への造詣の深さには驚嘆しました。あの小澤さんと対等に音楽を語るどころか、小澤さんが知らないというピアニストの名前まで出てくるのだから、尋常な音楽の専門家のレベルではありません。あとがきで、小澤さんに「春樹さんの音楽好きは正気を超えている。」とまで言わせています。
やはり天才なのでしょうかね。ノーベル文学賞の候補とのウワサもあるようですから、私も少し彼の本を読んでみたいと思っています。
ところで、1Q84は面白いですよ。ノーベル賞の話などが飛び出す前に早くお読みになることをお勧めいたします。
そこで、村上春樹さんの音楽への造詣の深さには驚嘆しました。あの小澤さんと対等に音楽を語るどころか、小澤さんが知らないというピアニストの名前まで出てくるのだから、尋常な音楽の専門家のレベルではありません。あとがきで、小澤さんに「春樹さんの音楽好きは正気を超えている。」とまで言わせています。
やはり天才なのでしょうかね。ノーベル文学賞の候補とのウワサもあるようですから、私も少し彼の本を読んでみたいと思っています。
ところで、1Q84は面白いですよ。ノーベル賞の話などが飛び出す前に早くお読みになることをお勧めいたします。
「小澤征爾さんと音楽について話をする」読了。村上春樹氏がジャズだけでなくクラシックに造詣が深いことは知っていましたが、ここまでとは・・・。小澤さんの音楽を日本やボストンで数回聞く機会がありましたが、どちらかと言えば明るく行動的な性格のほうに魅了され続けてきました。それは、音楽だけでなく自伝の「僕の音楽武者修行」や数学者広中平祐氏との対談「やわらかな心を持つ」等にも言えることで若い方には是非一読をお薦めします。ピアニストの内田光子さんが客演で小澤さんが指揮するボストンへ、デトロイトから向かったのですが猛吹雪で空港に降りられずチケットを台無しにした20年前の出来事を思いだしました。学生時代の英語教師が作家の丸谷才一氏だったこともこの本で知りました。「もっと英語をやっておくべきだった。バーンスタインの指導等もっと理解できたのに・・・」というくだりが何度もでてきて、グローバル化が進む現在の学生の皆さんには語学学習の刺激にもなるでしょう。 丸谷氏の近作、カルテットを描いた「持ち重りする薔薇の花」も面白い小説でした。 ところで、1Q84は書棚で私を今も待っています。
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sakuraimac at 2012-07-21 22:54
「僕の音楽武者修行」はいいですね。内田光子と小澤さんの演奏会、残念でしたね。その組み合わせなら、私もぜひ聞きたいです。曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲20番と24番なら最高。
1Q84、早く読んであげてください。(実は文学にはうとい私は、その価値がよく分からないので、jayjay さんのコメントが聞きたいです。)
1Q84、早く読んであげてください。(実は文学にはうとい私は、その価値がよく分からないので、jayjay さんのコメントが聞きたいです。)