2012年 04月 21日
シンプル |
会議で色々と議論していたとき、最後にある先生が「この案が一番シンプルでよいのではないですか。」と発言したのが強く印象に残っている。
シンプルという形容詞を積極的な評価の言葉としてスマートに使っていたのが、何かとても新鮮に思えた。昔、コマーシャルで「Simple is best」というのがあったような気がするが、普通は重厚なる議論を続けているときは、この言葉は中々出てこない。
世の中で成功した人々の言葉はおおむね皆シンプルである。そこに至るまでの大変な苦労と紆余曲折と茨の道があったであろうが、成功したものは結果的には極めてシンプルな言葉で表現することができるようだ。
物理学の世界でも、世の中の複雑な事象はよりシンプルな次元で統一できるはずだと、人々はずっと信じてやってきた。現在は、宇宙の話などは、謎が深まるばかりであるようだが、物理学者たちのシンプル化への信仰は、永遠に変わらないであろうと思われる。
レオナルド・ダ・ビンチの言葉に「Simplicity is the ultimate sophistication」(シンプルということは究極に洗練されているということだ。)というものがある。シンプルという言葉に対して、最初に自分の頭に浮かんだ単語が、”Sophisticate” だったので、このダ・ビンチの言葉をある本の中で発見したときは非常に嬉しい思いがした。
もうひとつ、その本の中でアインシュタインの言葉として「Make everything as simple as possible, but no simpler」(すべての事は可能な限りシンプルに、ただし簡単すぎないように)というものが紹介されていた。
シンプルという言葉に関して、最初に思い浮かぶのは、やはり、Apple のスティーブ・ジョブスである。
昨年、北大で低温物理の研究をしている親戚の准教授の研究室を訪問したのだが、彼のオフィスには、大きなMACコンピュータが置いてあり、私との会話の大半がApple とスティーブ・ジョブスのことで費やされてしまった。彼は、ジョブスのプレゼンテーションをすべてチェックしており、自分の研究発表のプレゼン資料も、ジョブスを参考にしてできる限りシンプルに作っていると熱く語っていたのが印象に残っている。
Apple 社の製品が、これだけ多くの人々の熱烈な支持を受けているのは、上記にあげたダ・ビンチとアインシュタインの言葉をそのとおりに実践できているからではないかと思われる。十二分にSophisticateされており、その上で、行きすぎないギリギリのところでのシンプル化に見事に成功している。
「Sophisticated Simplicity」(洗練されたシンプルさ)、その影に隠された天才的な創造力と膨大な努力とを連想させつつも、何とも心地のよい響きの言葉だなあと思う。
<蛇足>
Simplicity の反対語は、Complexity である。一時期、Complex System (複雑系)の科学として大いに世の中の話題となった。「複雑系の科学」にも極めて奥深く興味深いものがあるのだが、それはまた別の機会に。
シンプルという形容詞を積極的な評価の言葉としてスマートに使っていたのが、何かとても新鮮に思えた。昔、コマーシャルで「Simple is best」というのがあったような気がするが、普通は重厚なる議論を続けているときは、この言葉は中々出てこない。
世の中で成功した人々の言葉はおおむね皆シンプルである。そこに至るまでの大変な苦労と紆余曲折と茨の道があったであろうが、成功したものは結果的には極めてシンプルな言葉で表現することができるようだ。
物理学の世界でも、世の中の複雑な事象はよりシンプルな次元で統一できるはずだと、人々はずっと信じてやってきた。現在は、宇宙の話などは、謎が深まるばかりであるようだが、物理学者たちのシンプル化への信仰は、永遠に変わらないであろうと思われる。
レオナルド・ダ・ビンチの言葉に「Simplicity is the ultimate sophistication」(シンプルということは究極に洗練されているということだ。)というものがある。シンプルという言葉に対して、最初に自分の頭に浮かんだ単語が、”Sophisticate” だったので、このダ・ビンチの言葉をある本の中で発見したときは非常に嬉しい思いがした。
もうひとつ、その本の中でアインシュタインの言葉として「Make everything as simple as possible, but no simpler」(すべての事は可能な限りシンプルに、ただし簡単すぎないように)というものが紹介されていた。
シンプルという言葉に関して、最初に思い浮かぶのは、やはり、Apple のスティーブ・ジョブスである。
昨年、北大で低温物理の研究をしている親戚の准教授の研究室を訪問したのだが、彼のオフィスには、大きなMACコンピュータが置いてあり、私との会話の大半がApple とスティーブ・ジョブスのことで費やされてしまった。彼は、ジョブスのプレゼンテーションをすべてチェックしており、自分の研究発表のプレゼン資料も、ジョブスを参考にしてできる限りシンプルに作っていると熱く語っていたのが印象に残っている。
Apple 社の製品が、これだけ多くの人々の熱烈な支持を受けているのは、上記にあげたダ・ビンチとアインシュタインの言葉をそのとおりに実践できているからではないかと思われる。十二分にSophisticateされており、その上で、行きすぎないギリギリのところでのシンプル化に見事に成功している。
「Sophisticated Simplicity」(洗練されたシンプルさ)、その影に隠された天才的な創造力と膨大な努力とを連想させつつも、何とも心地のよい響きの言葉だなあと思う。
<蛇足>
Simplicity の反対語は、Complexity である。一時期、Complex System (複雑系)の科学として大いに世の中の話題となった。「複雑系の科学」にも極めて奥深く興味深いものがあるのだが、それはまた別の機会に。
by sakuraimac
| 2012-04-21 23:45
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Comments(2)
ビジネスの世界、特に「組織論」では「kissの法則」が有名。某国で大事故発生。国家の中枢で次々と委員会が発足し決定が遅れ、責任の所在が曖昧となり混乱していく様を国民の一人として眺めながら〝Keep it simple,stupid!"とつぶやいていた。「組織/決定プロセス(決済手続きと決済責任者)/コミュニケーションチャネル等は、簡明にしておけ、この馬鹿やろう!」とでも訳すのだろうか。「組織は複雑化する習性を持つが、複雑になるほど機能しないぞ!」という主旨。 これと対で自分や部下を戒めている言葉は、「神は細部に宿る」という箴言。「一人一人が、高い水準の仕事を丁寧(高品質)に、誰が見ていようといまいと、プロの誇りを持って仕事を完遂しよう。細部の出来が全体の評価や品質を上げ、下げるから」という主旨。自分自身が変わる努力を一層行った上、個人と組織力の底上げを図る努力を若い諸君にも促したい。
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sakuraimac at 2012-04-22 15:49
jayjayさん、コメントありがとうございます。「Kissの法則」は知りませんでした。ご教示ありがとうございます。さすが博学なjayjayさん。「Keep it simple,stupid」の略でKissなのですね。
「神は細部に宿る」というのはそのとおりだと思います。宮崎駿さんのアニメとかApple のiPhoneとか人々に支持されるものは皆細部の出来がものすごくよいですものね。
「神は細部に宿る」というのはそのとおりだと思います。宮崎駿さんのアニメとかApple のiPhoneとか人々に支持されるものは皆細部の出来がものすごくよいですものね。