2013年 09月 21日
メルボルン |
国際会議の発表のために、9/13-9/20 まで、オーストラリアのメルボルンに滞在した。古き英国ビクトリア朝の面影を残した閑静な街と聞いていたのだが、行ってみると、高層ビルがいくつも建設中であり、そのようなイメージは、街中ではほとんど見られなかった。(郊外には行く機会はなかったので住宅街はどうなのかはよく分からなかったが)
街中を歩いていても、派手な広告は一切なく、人々もゆったりしていて、自然な落ち着いた感じがする。米国のような緊張を強いられる喧騒感は全くないし、ヨーロッパのようにちょっと気取っていて気を使うということもない。人々は、フレンドリーで、ストレスとか緊張感というものを全く感じない街であった。また、浮浪者とかホームレスのような人々も全く見られない。道行く人々も大変親切である。
2002年と2004年のエコノミスト誌の「世界で最も暮らしやすい都市」で一位を獲得しているとのことがと聞いて、少し驚いた。現地で暮らす人に聞いてみたら、10年程前は物価も住宅も安く人気があったが、今は地価や物価が高騰しているので、順位はかなり下がっているはずとのことであった。
確かに、円安と豪ドル高が重なって物価はかなり高く感ずる。空港での換算レートは、1豪ドル=103円であった。(確かちょっと前までは70円くらいだったような気がする。)
気候は、地理的位置としてはオーストラリアの最南端にあるし、季節は冬なので寒いかと思ったのだが、ちょうど日本の春先のような感じで快適であった。
メルボルンといえば、小学生時代にオリンピックが開催されていたことを思い出す。あまりよくは覚えてはいないが、水泳王国のオーストラリアが水泳競技で山のようなメダルを取っていたような記憶がある。
たまたま、ホテルの周りを、食べ物屋はないかと捜し歩いていたら、目立たない中華料理店があり、覗いてみたら、何やら有名人らしき写真がたくさん貼ってある。入って眺めてみたら、写真のわきに、「周恩来とキッシンジャー」「ニクソン大統領」「ジョージ・ブッシュ大統領」「ヒース英国首相」「ガリ国連事務総長」、と書いてあるのでビックリした。
店の名は、全聚徳 (Quanjude)で、 北京ダックが安くておいしかった。(写真を載せたらFacebook の友人が北京ダックの有名老舗店で日本にもあると教えてくれた。もしメルボルンに行く機会があれば一度訪れて見てください。)
アジアが近いせいか、レストランは、アジア系が多く,漢字を書いた日本料理屋もたくさんある。
国際学会のほうは、以前、ブリュッセルを訪れたときと同じ、画像処理関係の最大の国際会議の、ICIP (International Conference on Image Processing) である。ここは、毎年、2000件ほどの応募があり、採択率は30%という厳しい学会である。論文査読を通るのは大変であるが、その分参加すると、最先端の研究成果が学ぶことができるので、研究活動には大変に役に立つ。
今回は、自分で書いた論文について、ポスターセッションで、2時間半ばかり来訪者達と話をした。最近ちょっと体力が落ちていて、結構疲れた。でも2時間半、英語をしゃべり続ける体力がまだ残っていたことには少しだけ安心した。(10月の新学期からは、たくさんの授業が待っているので、ちょっと心配だったのだが・・・)。
ところで、会議の発表を聞いていて、世界と日本の質と量の差異が気になった。特に、玉石混交とはいえ、中国人の発表が数の上では際立って多かった。多くは所属が米国や欧州の大学の留学生である。
有能な頭脳を世界に派遣した結果なのだろうなと感ずる。彼らが、博士課程を終え、留学先から戻ってきたとき、中国の科学技術レベルは大きく上がり、先端科学技術の面でも、日本は遅れを取ってしまうのではないかと不安感を持ってしまう。
以前に、東大の学生達が、「留学など無駄なことをすると、就職戦線に乗り遅れるだけなのでやる気は起らない。」と、テレビのインタビューに答えていたのを見て以来、この状況というのは気になってしかたがないことでもあった。このままでは、技術立国たるべき日本の国力は、さらに衰えていくばかりではないのかと心配になる。
政府も大学関係者も企業も、そのことには危機意識を持っており、色々な対策案が提言されてきた。しかしながら、最大の問題点は、政府の支援策や大学の教育制度にではなく、失敗に対するセーフティネットのない、日本の企業社会の硬直化した人材採用風土にあるのではないかと私には思われる。
セーフティネットが無い、あるいは敗者復活の可能性の低い社会では、頭のよい若者ほど、人生のリスクの最も少ない道を選択しようとするのは、当然の結果だと思う。しかも、ほとんどの企業では、海外経験が採用の際に有利になる訳でもない。(昨年、大学の就職担当を経験してみてこのことは強く実感した)。
このままでは、日本の将来に、人材育成という面からも明るさが見えてこない。新しい社会を作っていくのは若い人々の力なのだから、何とか、もっとよい知恵を皆で出していかねばならないのではないのだろうかと思う。相手とするものが自国の社会風土となると容易なことではないが・・・。
街中を歩いていても、派手な広告は一切なく、人々もゆったりしていて、自然な落ち着いた感じがする。米国のような緊張を強いられる喧騒感は全くないし、ヨーロッパのようにちょっと気取っていて気を使うということもない。人々は、フレンドリーで、ストレスとか緊張感というものを全く感じない街であった。また、浮浪者とかホームレスのような人々も全く見られない。道行く人々も大変親切である。
2002年と2004年のエコノミスト誌の「世界で最も暮らしやすい都市」で一位を獲得しているとのことがと聞いて、少し驚いた。現地で暮らす人に聞いてみたら、10年程前は物価も住宅も安く人気があったが、今は地価や物価が高騰しているので、順位はかなり下がっているはずとのことであった。
確かに、円安と豪ドル高が重なって物価はかなり高く感ずる。空港での換算レートは、1豪ドル=103円であった。(確かちょっと前までは70円くらいだったような気がする。)
気候は、地理的位置としてはオーストラリアの最南端にあるし、季節は冬なので寒いかと思ったのだが、ちょうど日本の春先のような感じで快適であった。
メルボルンといえば、小学生時代にオリンピックが開催されていたことを思い出す。あまりよくは覚えてはいないが、水泳王国のオーストラリアが水泳競技で山のようなメダルを取っていたような記憶がある。
たまたま、ホテルの周りを、食べ物屋はないかと捜し歩いていたら、目立たない中華料理店があり、覗いてみたら、何やら有名人らしき写真がたくさん貼ってある。入って眺めてみたら、写真のわきに、「周恩来とキッシンジャー」「ニクソン大統領」「ジョージ・ブッシュ大統領」「ヒース英国首相」「ガリ国連事務総長」、と書いてあるのでビックリした。
店の名は、全聚徳 (Quanjude)で、 北京ダックが安くておいしかった。(写真を載せたらFacebook の友人が北京ダックの有名老舗店で日本にもあると教えてくれた。もしメルボルンに行く機会があれば一度訪れて見てください。)
アジアが近いせいか、レストランは、アジア系が多く,漢字を書いた日本料理屋もたくさんある。
国際学会のほうは、以前、ブリュッセルを訪れたときと同じ、画像処理関係の最大の国際会議の、ICIP (International Conference on Image Processing) である。ここは、毎年、2000件ほどの応募があり、採択率は30%という厳しい学会である。論文査読を通るのは大変であるが、その分参加すると、最先端の研究成果が学ぶことができるので、研究活動には大変に役に立つ。
今回は、自分で書いた論文について、ポスターセッションで、2時間半ばかり来訪者達と話をした。最近ちょっと体力が落ちていて、結構疲れた。でも2時間半、英語をしゃべり続ける体力がまだ残っていたことには少しだけ安心した。(10月の新学期からは、たくさんの授業が待っているので、ちょっと心配だったのだが・・・)。
ところで、会議の発表を聞いていて、世界と日本の質と量の差異が気になった。特に、玉石混交とはいえ、中国人の発表が数の上では際立って多かった。多くは所属が米国や欧州の大学の留学生である。
有能な頭脳を世界に派遣した結果なのだろうなと感ずる。彼らが、博士課程を終え、留学先から戻ってきたとき、中国の科学技術レベルは大きく上がり、先端科学技術の面でも、日本は遅れを取ってしまうのではないかと不安感を持ってしまう。
以前に、東大の学生達が、「留学など無駄なことをすると、就職戦線に乗り遅れるだけなのでやる気は起らない。」と、テレビのインタビューに答えていたのを見て以来、この状況というのは気になってしかたがないことでもあった。このままでは、技術立国たるべき日本の国力は、さらに衰えていくばかりではないのかと心配になる。
政府も大学関係者も企業も、そのことには危機意識を持っており、色々な対策案が提言されてきた。しかしながら、最大の問題点は、政府の支援策や大学の教育制度にではなく、失敗に対するセーフティネットのない、日本の企業社会の硬直化した人材採用風土にあるのではないかと私には思われる。
セーフティネットが無い、あるいは敗者復活の可能性の低い社会では、頭のよい若者ほど、人生のリスクの最も少ない道を選択しようとするのは、当然の結果だと思う。しかも、ほとんどの企業では、海外経験が採用の際に有利になる訳でもない。(昨年、大学の就職担当を経験してみてこのことは強く実感した)。
このままでは、日本の将来に、人材育成という面からも明るさが見えてこない。新しい社会を作っていくのは若い人々の力なのだから、何とか、もっとよい知恵を皆で出していかねばならないのではないのだろうかと思う。相手とするものが自国の社会風土となると容易なことではないが・・・。
by sakuraimac
| 2013-09-21 21:32
| 旅行
|
Comments(2)
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
また遊びに来ます!!
0
Commented
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sakuraimac at 2014-02-23 21:25
履歴書の添え状さん、コメントありがとうございます。就職関連のこともたくさん書いてありますので、覗いてみてください。教育大学のカテゴリをご覧ください。