2016年 10月 15日
無限について |
電子工学の講義をしていて気になるもののひとつに、インパルスというものがある。これは鋭いパルスであり、数学的にはデルタ関数で表される。デルタ関数は t=0 で無限大の値をとり、その他の部分でゼロと定義される関数である。
このデルタ関数は、フィルタの設計とかサンプリング定理の証明などにおいて、大いに活躍するのであるが、ひっかかるのが値が無限大というところである。私の知る限りにおいて、工学や物理の分野において無限大の物理量というものは聞いたことがない。(時間についての無限大は話がややこしいのでまた別の機会にする。)
これは、以下のようなことだと思う。工学においては、非常に大きい数や量に対しては無限大という呼称を用いる。無限大という表記を見たとき、多くのエンジニアは無限という概念などは気にせずに、計測できないような大きな数量のことを便宜上指しているのだなと理解している。
その上で、∞の元に成り立っている数学を駆使して物理現象の解析を行っている。ほとんどの場合それで済むので問題はないのだが、たまに、オヤっと思われることに遭遇する。
以前、ここで「オイラーの公式の謎」という題名で紹介した自然数の無限和がその1例である。自然数を無限に足していくと、下記のように答えが2つあるというものである。
(http://sakuraimac.exblog.jp/19944849/)
1+2+3+4+…..=N(N+1)/2→ ∞ (1)
1+2+3+4+…..=-1/ζ(-1)=-1/12 (2)
数学の無限というのは、有限の世界に生きる人間が考え出した一種の仮想概念であり、そのために定義の仕方で結果も変わるようだ。どうもまだ100%納得はできないのだが、上記の式は2とも正しいということらしい。
無限がからむ場合は、物理や工学にとって数学を利用する際には注意が必要であり、特に式(2)のような特殊な式を物理的な世界に用いるのは間違いなのではないかとずっと疑問に思ってきた。
しかしながら、その後よく考えてみるとそう単純なものでもないと思うようになった。有限の物理量は無限の数学に投影されて様々な成果をあげてきた。ならば、式(2)で表わされる無限和は、それが投影されるべき物理現象があってもけっして不思議ではないということになる。
それが、「オイラーの公式の謎」で述べた超弦理論の次元数であったと理解するならば、超弦理論の奥深さを感じざるを得ない。とても常識では容認できない式を用いる超弦理論が、今後どのように実証されていくのか興味は尽きない。
このデルタ関数は、フィルタの設計とかサンプリング定理の証明などにおいて、大いに活躍するのであるが、ひっかかるのが値が無限大というところである。私の知る限りにおいて、工学や物理の分野において無限大の物理量というものは聞いたことがない。(時間についての無限大は話がややこしいのでまた別の機会にする。)
これは、以下のようなことだと思う。工学においては、非常に大きい数や量に対しては無限大という呼称を用いる。無限大という表記を見たとき、多くのエンジニアは無限という概念などは気にせずに、計測できないような大きな数量のことを便宜上指しているのだなと理解している。
その上で、∞の元に成り立っている数学を駆使して物理現象の解析を行っている。ほとんどの場合それで済むので問題はないのだが、たまに、オヤっと思われることに遭遇する。
以前、ここで「オイラーの公式の謎」という題名で紹介した自然数の無限和がその1例である。自然数を無限に足していくと、下記のように答えが2つあるというものである。
(http://sakuraimac.exblog.jp/19944849/)
1+2+3+4+…..=N(N+1)/2→ ∞ (1)
1+2+3+4+…..=-1/ζ(-1)=-1/12 (2)
数学の無限というのは、有限の世界に生きる人間が考え出した一種の仮想概念であり、そのために定義の仕方で結果も変わるようだ。どうもまだ100%納得はできないのだが、上記の式は2とも正しいということらしい。
無限がからむ場合は、物理や工学にとって数学を利用する際には注意が必要であり、特に式(2)のような特殊な式を物理的な世界に用いるのは間違いなのではないかとずっと疑問に思ってきた。
しかしながら、その後よく考えてみるとそう単純なものでもないと思うようになった。有限の物理量は無限の数学に投影されて様々な成果をあげてきた。ならば、式(2)で表わされる無限和は、それが投影されるべき物理現象があってもけっして不思議ではないということになる。
それが、「オイラーの公式の謎」で述べた超弦理論の次元数であったと理解するならば、超弦理論の奥深さを感じざるを得ない。とても常識では容認できない式を用いる超弦理論が、今後どのように実証されていくのか興味は尽きない。
by sakuraimac
| 2016-10-15 17:50
| 科学技術
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