理工系大学教員の随想録です。m.sakurai@ieee.org
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by sakuraimac | 2013-12-23 09:26 | 娯楽・趣味 | Comments(1)
2013年 11月 03日

美顔の研究

画像関連の学会の研究テーマを見ると、最近は人間の顔に関する発表がずいぶんと多い。顔の検出、顔認証、骨格解析、ディジタル化粧など様々であるが、人間生活における顔の画像処理に関するニーズというものがいかに増えてきたかということが実感される。日本には日本顔学会というものが10数年以上も前から設立されており、これも大変盛況である。

最近、我々の画像研究のひとつとして、顔の画像処理、それも特に美顔処理というテーマを起こした。特に目新しい話題ではないのだが、我々の持っている高性能のノイズ除去と超解像技術を人間の顔に応用したらどうなるだろうか、という軽い気持ちから始めてみたものである。

ところで、美顔処理という研究テーマを起こすためには、まず美しい顔とは何かということを知っておく必要がある。そこで、少し美顔についての過去の研究を調べてみた。

人の顔に関する一番古い研究としては、1879年にゴールトンが提唱した平均値仮説がある。多くの顔の写真を重ね合わせていくと、美男・美女になるというものである。この研究は経緯が面白い。犯罪者の顔を集めて重ねていくと悪い特徴が強調されて究極の犯罪者の顔が現れるだろうというのが研究目的であったのだが、結果は全く逆となり美男子顔が生まれてしまった。その実験結果が元となって、平均的な顔を人間は美しく感ずるという平均値仮説が提唱される。
その後は、対称顔仮説、幼児顔仮説などが提唱されたが、これらはあまり大きな説得力を得なかったようであり、その後はあまり有力な仮説は出ていないようだ。

最近の美顔研究としては、年齢変化による特徴量の検出、コンピュータグラフィックによる構造変化、魅力度に関する調査などの研究が主なところになっているようである。

一方、学術的なものとは別に、実用的な意味で最も熱心に美顔の構造を研究しているのは、美容整形医であろう。高須クリニックでは、美しい顔の形状比率について詳しい解説を公表している。

http://www.takasu.co.jp/topics/beautytheory/check.html

これは、理論というよりは、美容整形の経験から得られた理想数値というものであろう。

一方では美顔というのはかなり主観的な部分もあるだろうから、一般の人々が、美顔に対してどういう条件をあげているかを調べておく必要もある。日本における美人のひとつの調査結果としては、次のような統計結果が公表されている。
1.ハリのある若々しい肌
2.バランスのよい体型
3.歯の美しさ
4.ツヤのある髪
5.透明感のある肌
肌に関するものが2つ上位に来ているのが特徴的である。

一方では、整形外科の顔に関する施術項目を見ると
1.目(二重まぶた、目もと)
2.肌(しわ、たるみ、にきび、毛穴、しみそばかす、ほくろ)
3.鼻
4.口(口もと、くちびる)
5.あご輪郭
6. 歯
となっている。ここでも肌に関するものが非常に多いのが特徴的である。

さて、ここまで調べた結果、顔の構造を変化させない範囲での顔写真を美顔処理する研究のターゲットとしては、
① 肌の補正
② 目・髪の毛・鼻・口の補正
の2つに絞ってみるのがよさそうとの結論に至った。

①に関しては、高性能のノイズ除去の技術が、②に対しては超解像処理の技術を応用できそうである。詳しいことは、まだ公表できないが、もしもうまくよい結果が出たら学会発表でもしてみたいと思っている。

なお、今まで、堅い目的の画像処理の研究に特化してきたのだが、年も顧みず、急にこういう柔らかいテーマに興味を持つようになってしまったことに、自分自身が苦笑してしまうこの頃でもある。

<蛇足>
美顔調査のついでに、ちょっと、遊び心を出して日本の女優さんの美人アンケートを取ってみた。私の知り合いネットワークには限りがありいい加減なものではあるが、結果は以下のようになった。(学生達の好みはまだ調査はしていないが)
北川景子 14票
深田恭子 9票
新垣結衣 9票
佐々木希 7票
桐谷美玲 5票
綾瀬はるか 4票
沢尻エリカ 2票
美人というのと好きというのは区別するのが難しいのであるが(学会でも好感度という用語がよく使われている)、上記の人たちが、高須クリニクの美顔比率基準にどれだけあてはまるのかということは、ちょっと興味が湧くところでもある。(私の専門の情報通信工学とはかけ離れた分野であるが・・・)

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by sakuraimac | 2013-11-03 12:50 | 娯楽・趣味 | Comments(0)
2013年 08月 26日

風立ちぬ

久しぶりに映画館に行って話題の「風立ちぬ」を見てきた。名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマであるが,チケット予約掲示板を見たら,11 本の上映中の映画の中では,風立ちぬが圧倒的に1番であった。

宮崎駿さんの作品としては「崖の上のポニョ」以来5年ぶりとのことである。映画はとてもシンプルで美しかった。他の宮崎作品に比べても,あまり深く考えずに素直に物語を追うことができた。宮崎さん独特の細部の描写もあいかわらず秀逸で,登場人物では上司の黒川夫妻が実にいい味を出していて印象に残った。

宮崎作品は,結構難解なところがあるのだが,今回は監督の意向が素直に伝わってきて,また宮崎さんの美意識と感性がとてもよく出ていたと思う。

ひとつだけ残念だったのは、堀越二郎氏の傑作、世界一の性能を実現した名機ゼロ戦に関する描写が,拍子抜けするほどあっさりと省略されてしまっていたことである。それを期待して見にいったのだが,完全に肩透かしをくらった感がした。(ゼロ戦をわざと無視したのも宮崎さんの美意識のひとつなのだろうか?)


ところで,個人の感想をこうして記載すると,では他の人々はどう思っているのだろうということがいつも気になってしまう。(一人我が道を行くという自信が持てない悲しさか)

調べるとなると,とりあえずは,ネットでとなるのだが,これが中々やっかいである。自分の研究分野なら丁寧に調べるのだが,たかが映画(宮崎さんゴメンナサイ)の評判を調べるのに,そんなに労力を使う気は全く起こらない。とにかく,ネットは,ゴミ情報の山でイヤになる。評論家の言葉もあてにならないし,総評みたいなものも,編集加工されているのでどこまで皆の声を繁栄しているのか全く分からない。

その中で,私が結構評価しているのが,Yahoo 知恵袋である。ここの住人は,シロウトだが暇で趣味にハマっている人がかなり多い(こういう人々は専門家はだしで決してバカにはできない)。それらの人々が,自分の専門分野に関しては、ゴミやホコリをすべて捨て去って,よく出来た感想のみを選んで,生情報として提示してくれる。ちなみに,Yahoo 本体や Google ではなく,Yahoo知恵袋を開いて,「風立ちぬ 感想」で検索してみると,そのようなよく出来た生情報が並んでいる。


話は飛ぶが、会社組織でも,えらくなると,雑多な現場の生情報を見たり聞いたりしている暇はない。勢い,不要な情報を切り捨てて価値ある情報をフィルタリングして伝える中間層の働きが重要となる。(その中間層の機能が低いととんでもないことになるのだが)

これは,我々の研究している情報処理の観点からも極めて興味深い事柄である。我々にとって最も役立つデータとは,高性能なフィルターによって不要なノイズが除去されており,かつ加工される前の生のデータである。加工のアルゴリズムの開発が主な研究テーマなので,すでに加工されてしまったデータは役にたたない。
まして、ノイズを含んだまま加工されたデータは最悪である。役に立たないどころか、誤った結論を導くので大きな弊害となる。

ノイズ除去の情報フィルタリング機能が優れていること,加工されてない生データを提供してくること,この2点が,私がYahoo知恵袋を評価する最大の理由である。(ネットにはあまり詳しくないので,他にもこのような機能を持ったサイトが色々あるのかもしれないが・・・)


で,私の映画感想はどういう位置づけになったのかということであるが,結局のところ,よく分からなかった。そんなに的はずれでもなかったようだが,黒川夫妻を誉めていた人も,ゼロ戦を残念がっていた人もあまりいなかった。これは私の個人的趣味だったのかもしれない。

ただ,発見したのは,当時の歴史の背景知識がない若い人々には,我々のようには何も考えずにごく自然に理解するのはかなり難しいのだということであった。
また,理解されずとも構わないという多少開き直った宮崎さんの美意識は,理解する人と理解しない人がいるのだということも分かった。「ピカソの絵を見て,素晴らしい芸術だと思う人もいれば,全く理解ができない人もいるのと同じだ。」という説明は中々説得力があった。


<追記> 8/26放送のNHKの番組プロフェッショナルで,宮崎駿さんがこの映画を作った時の様子が紹介されていた。宮崎さんが、最初に,堀越二郎の話を出したら,周囲から「戦争を賛美する映画を作るのか」と言われてずいぶんと悩んだことが紹介されていた。
ゼロ戦に全く触れていないこと,そして歴史背景の説明があっさりしすぎているのは,彼の美意識というよりは,そういう葛藤が背景にあったのだということを,番組を見て初めて知った。映画を見て何か納得のいかない思いをした人も少なくないのは,宮崎さん自身のこの葛藤のせいなのかもしれない。

私にとっては,この作品は、素直な美しい映画であった。(ただ傑作と言えるのかどうかはよく分からない。確実に傑作だと言えるのは、やはり宮崎さんの初期の作品 「となりのトトロ」だと思っている。)


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by sakuraimac | 2013-08-26 22:35 | 娯楽・趣味 | Comments(1)
2012年 09月 16日

もしドラ

書くのは好きだが、読むのはそれほどでもない。読書は根気と時間とエネルギーが必要なので正直苦手である。不思議なことに、そんな私が書いた 「読書案内」 というブログへのアクセス数が予想外に多い。Google 検索をするとかなり上の方に出てくる。こんな浅知恵の私の書いたブログが大きな顔をしているのは、世の中の読書家の方々には、大変申し訳ない思いであり恐縮している。(ちなみにこのブログの右側の記事ランキングでも5位に位置している。)

読書という行為自体は苦手なのだが、よい本を読むことの意義は十分理解しているつもりなので、読書案内はいつも気にしている。ベストセラーが案外と中身が薄くつまらない場合が多いのと同様に、有名人の新刊書の推薦もあまりあてにはならない。自分が信頼する人がある程度時間を経た本を推薦している場合が、一番安心できるような気がしている。

最近、何かの雑誌で、有名人がビジネスマンに薦める読書案内の特集をやっていた。その中で、私の敬愛する夏野剛氏が 「もし高校野球の女子マネージャがドラッカーのマネジメントを読んだら」 (通称:もしドラ)を、中間管理職や企業経営者はぜひ読んでほしいと勧めているのを発見した。その記事は下記のネットでも閲覧できる。

http://shuchi.php.co.jp/article/1128

「もしドラ」は、ベストセラーになって話題になっていたことは記憶していたが、マンガ風の表紙とその風変わりな題名から、あまり自分には関係の無い本と思い見過ごしていた。しかし、夏野氏がまじめに推薦しているので、これは読む価値があるのだろうと思い、早速、アマゾンで買ってみた。(ベストセラーとはいえ、もう2年以上も前の出版なので、中古本だとかなり安く買うことが出来る。)

読んでみたら、これが実に面白く感動的であった。ドラッカーの経営学と高校野球を結びつけるアイデアは斬新であるが、高校野球のドラマとしても、組織活性化論としても、ドラッカーの紹介本としても大変よくできている。著者の作家としての文書力とかストーリ展開のイージーさなど色々ケチをつける人もありそうではあるが、とにかく、その発想とアイデアは素晴らしい。

映画やテレビアニメにまでなった有名本を、今ごろ読んで感心して、わざわざブログに書くのも、自らの不明さをさらすようで気恥ずかしいのであるが、推薦者の夏野剛さんの名に免じてお許しをいただきたい。

私と同じような姿勢でまだ読んでいない方があれば、ぜひご一読をお勧めしたい1冊である。3時間もあれば読めてしまうし、若い人から年寄まで、それぞれに学ぶことが非常に多い本だと思う。
(ついでに、その元となったドラッカーの名著 「マネジメント」 もまだ読んでない方人にはぜひ。)


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by sakuraimac | 2012-09-16 00:44 | 娯楽・趣味 | Comments(0)
2012年 08月 22日

女優の魅力

映画はそんなに好きという訳でもなく、たびたび行くわけでもないのだが、先週、たまたま話題となっている「ヘルタースケルター」を観てきた。平日にもかかわらず、超満員で、女性客が多いのには驚いた。

映画自体は男性の私にはあまり面白くなかったが、主演の沢尻エリカは、まさにハマリ役で大熱演。この映画では、それほどかわいくも美しくもなかったが、女優としての才能にはすごいものがあるのだなと改めて認識させられた。

沢尻エリカは、ここ数年、マスコミのバッシングを機に、皆にあまりよいイメージが伝えられていないようである。 しかしながら、昔の 「1 リットルの涙」 で見せた清純な愛らしさと演技力は、鮮明に記憶に残っている。そのときの天使のような可憐な姿と、今回の映画の過激さとの間の大きな差異には、ビックリしてしまう。どちらが本当の姿に近いのかはよく分からないが、それはそれとして、これだけの大きな振幅というのは、ある意味女優としてすぐれた証とも言えるのではないだろうか。

女優の能力というもののひとつに、全くイメージの違う色々な役柄を演じられるということがあるのではないかと思う。ハマリ役で熱演することもさることながら、自分の性格や普段のイメージと異なる役柄でもうまく演じ切れるというのも、女優の魅力のひとつと言えるような気がする。

そうした意味では、話は飛ぶが、深田恭子も中々すぐれた才能を持っていると思う。ハマリ役と言えば、「ヤッターマン」のドロンジョ役に違いない(本人も気に入っているようだ)。 一方、イメージが全く異なる役と言えば、昨年の「ワイルド 7 」のクールな hit woman 。普段の深キョンのマッタリしてコメディックなイメージとは異なり、きりっとした美しさが印象的である。

セリフが拙いとか、大根役者とかの酷評もあるが、ドラマ「幻夜」での悪女役では、表情の作り方や目の動きなど、女優として中々すぐれた演技力を見せていたと私は思う。

お騒がせ沢尻エリカの清純な女子高生と、マッタリ深田恭子のクールな殺し屋、美しさと演技力もさることながら日頃のイメージとの間の大きなギャップ感に、今私の一番のお気に入りの2人でもある。



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1 リットルの涙 (2005年 フジテレビドラマ) ___ ワイルド 7 (2011年 羽住英一郎監督)
by sakuraimac | 2012-08-22 20:40 | 娯楽・趣味 | Comments(4)