2011年 07月 18日
スーパーコンピュータ |
蓮舫議員の「2位じゃダメなんでしょうか?」という発言ですっかり有名になった日本のスーパーコンピュータであるが、6月の世界ランキングで、理化学研究所の「京(けい)」が、見事に世界1位となったと発表された。日本が1位となったのは7年ぶりだそうで、予算削減の中での快挙ともいえる。
スーパーコンピュータは専門外なので、ちょっとその内容を調べてみた。プロセッサチップは富士通製の8コアのSPARC64(128GFLOPS)で、これを8万個使用し、800台のラックから構成されている。全体の計算能力は、8.162×10の15乗FLOPS(8.162ペタFLOPS)となる。

800台のラックが並ぶ様子は壮観である。消費する電力は何と8000KWもあり、これは一つの工場といえる規模である。さらに次の世代のスーパーコンピュータの目標は、ペタ(10の15乗)級ではなく、エクサ(10の18乗)級の演算能力とのことである。そのとき最大のネックとなるのが、消費電力で、今のまま単純にエクサ級にすると、原発1基分の1GWになってしまう。これでは、あまりに非現実的ということで、米国政府はエクサ級のコンピュータに20MWという上限を設けた。
調べてみて、スーパーコンピュータなるものが、ハードウェア的にこれほど大規模なものになっていることを、今回初めて知って大変驚いた次第である。
私は、大学で集積回路設計という講義を担当しているが、そこで、「60年前の世界最初のコンピュータENIACは、部屋一杯のラックで構成され、重量30トン、消費電力は174KWもあった。今のパソコンは、ENIACよりはるかに高性能で、ヒザの上にのり、消費電力はたったの30Wである。CMOS集積回路の著しい発展により、コンピュータの電力は取るに足りないものとなった。」と解説している。
今後、学生達に、このスーパーコンピュータのことも話さねばならないとしたら、一体どう説明したらよいのか困惑してしまう。
世界中の空いているコンピュータをネットワークで接続して動かすグリッドコンピュータの話を聞いて、これからの世の中はそういう方向に動いていくのかと思っていた。しかし、一方では、このような超大規模のモンスターコンピュータとでも言える方向もちゃんと存在しているのだ。
ITという感覚からすると、グリッドコンピュータの思想は、ごく素直になるほどと納得できる。しかしながら、工場がいくつも並び、原発1基分の電力を消費するスーパーコンピュータなどというものは、ちょっと常識の範疇を超えていてイメージが浮かんでこない。
蓮舫議員の発言は、こうしたスーパーコンピュータの開発の方向性に対する専門家達の批判を代弁しているのではないかと私は推測している。(政治家が専門外のことについて発言するときは、必ず事前に複数の有識者の意見を確かめているはずだろうから。)
スーパーコンピュータは専門外なので、ちょっとその内容を調べてみた。プロセッサチップは富士通製の8コアのSPARC64(128GFLOPS)で、これを8万個使用し、800台のラックから構成されている。全体の計算能力は、8.162×10の15乗FLOPS(8.162ペタFLOPS)となる。

800台のラックが並ぶ様子は壮観である。消費する電力は何と8000KWもあり、これは一つの工場といえる規模である。さらに次の世代のスーパーコンピュータの目標は、ペタ(10の15乗)級ではなく、エクサ(10の18乗)級の演算能力とのことである。そのとき最大のネックとなるのが、消費電力で、今のまま単純にエクサ級にすると、原発1基分の1GWになってしまう。これでは、あまりに非現実的ということで、米国政府はエクサ級のコンピュータに20MWという上限を設けた。
調べてみて、スーパーコンピュータなるものが、ハードウェア的にこれほど大規模なものになっていることを、今回初めて知って大変驚いた次第である。
私は、大学で集積回路設計という講義を担当しているが、そこで、「60年前の世界最初のコンピュータENIACは、部屋一杯のラックで構成され、重量30トン、消費電力は174KWもあった。今のパソコンは、ENIACよりはるかに高性能で、ヒザの上にのり、消費電力はたったの30Wである。CMOS集積回路の著しい発展により、コンピュータの電力は取るに足りないものとなった。」と解説している。
今後、学生達に、このスーパーコンピュータのことも話さねばならないとしたら、一体どう説明したらよいのか困惑してしまう。
世界中の空いているコンピュータをネットワークで接続して動かすグリッドコンピュータの話を聞いて、これからの世の中はそういう方向に動いていくのかと思っていた。しかし、一方では、このような超大規模のモンスターコンピュータとでも言える方向もちゃんと存在しているのだ。
ITという感覚からすると、グリッドコンピュータの思想は、ごく素直になるほどと納得できる。しかしながら、工場がいくつも並び、原発1基分の電力を消費するスーパーコンピュータなどというものは、ちょっと常識の範疇を超えていてイメージが浮かんでこない。
蓮舫議員の発言は、こうしたスーパーコンピュータの開発の方向性に対する専門家達の批判を代弁しているのではないかと私は推測している。(政治家が専門外のことについて発言するときは、必ず事前に複数の有識者の意見を確かめているはずだろうから。)
by sakuraimac
| 2011-07-18 01:06
| 科学技術
|
Comments(2)
計算機の専門の先生からコメントをいただきました。
京のことで私が批判している点は2つです。
1)独自技術(CPUがSPARC、インターコネクトも6次元トーラス)にこだわりすぎて、予算が膨大になりすぎた(1120億)。ちなみにもうすぐ稼働するBlue Waterは1,5PFで200億程度。むろん独自技術で世界的なブレークスルーがあるのなら話は別で すが、私にはそう思えません。
2)予算がふんだんにある場合は1位を目指すには意味があるが、予算が少ない場合はコストパフォーマンスを重視すべき。
やはり、”スーパーコンピュータ村”での議論だと思います。いったん走り出したプロジェクトは止まらないですね。
京のことで私が批判している点は2つです。
1)独自技術(CPUがSPARC、インターコネクトも6次元トーラス)にこだわりすぎて、予算が膨大になりすぎた(1120億)。ちなみにもうすぐ稼働するBlue Waterは1,5PFで200億程度。むろん独自技術で世界的なブレークスルーがあるのなら話は別で すが、私にはそう思えません。
2)予算がふんだんにある場合は1位を目指すには意味があるが、予算が少ない場合はコストパフォーマンスを重視すべき。
やはり、”スーパーコンピュータ村”での議論だと思います。いったん走り出したプロジェクトは止まらないですね。
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同先生より、さらに追加のコメントをいただきました。
グリッドコンピュータは、コンピュータ間の遅延が多すぎるため、適用できるアプリケーションが少なすぎます。基本的にパラメータを変化して最適値を決定するパラメータサーチしかアプリがありません。最もこのような計算が多い(DNA解析など)のも事実です。
次世代のコンピュータですが、基本的には手詰まりです。
3つの壁
1. メモリウオール(DRAMとCPUとの遅延)
2. パワーウオール(動作電圧による消費電力の限界)
3. ILPウオール(Instruction Level Parallelism 並列性の限界)を超える“決定的な"技術はありません(個人的には、3次元集積回路などで、主記憶も含めて一つのチップに納めることが進めば、あと1-2桁はCPU単体の速度は上がると思っていますが)。
現在は、CPU単体での高速化はほぼ不可能です。ILPだけはマルチスレッド化して、人間がプログラムをがんばれば何とかなりますが。
従って、スーパーコンピュータを作る方法は、は物量作戦で、高速なインターコネクトでCPUをたくさん結んで、高速化するだけです。
グリッドコンピュータは、コンピュータ間の遅延が多すぎるため、適用できるアプリケーションが少なすぎます。基本的にパラメータを変化して最適値を決定するパラメータサーチしかアプリがありません。最もこのような計算が多い(DNA解析など)のも事実です。
次世代のコンピュータですが、基本的には手詰まりです。
3つの壁
1. メモリウオール(DRAMとCPUとの遅延)
2. パワーウオール(動作電圧による消費電力の限界)
3. ILPウオール(Instruction Level Parallelism 並列性の限界)を超える“決定的な"技術はありません(個人的には、3次元集積回路などで、主記憶も含めて一つのチップに納めることが進めば、あと1-2桁はCPU単体の速度は上がると思っていますが)。
現在は、CPU単体での高速化はほぼ不可能です。ILPだけはマルチスレッド化して、人間がプログラムをがんばれば何とかなりますが。
従って、スーパーコンピュータを作る方法は、は物量作戦で、高速なインターコネクトでCPUをたくさん結んで、高速化するだけです。

