2011年 09月 02日
マイケル・サンデル教授 |
マイケル・サンデル教授をテレビで初めて見たのは、昨年の5月、NHK教育テレビの「ハーバード白熱教室」という番組を目にしたときであった。
「行為の道徳的価値観は動機で決まる」という言葉につい引かれて見ていると、講義のあとに学生たちと熱のこもった対話が開始された。
その授業の進め方と学生たちの生き生きとした反応に大いに興味を持って最後まで見終えたのだが、この番組は、ハーバード大学の超人気講義を、同大学が初めて外部へ公表したものとの説明があり、なるほどよいものを見させてもらったと大いに納得した。
この、サンデル教授の白熱教室シリーズは、皆の注目を集めて、大きな話題となった。
昨年8月にはサンデル教授が来日し、東大安田講堂において、東大生300名と10倍の競争率の一般公募の500名が参加して、講義が行われ、その様子が9月にNHKで放映された。
そこで、サンデル教授が最初に提示したのは、「イチローは1800万ドルの年俸であるが、オバマ大統領は40万ドルであり45倍の差がある。これは両者が行っている仕事に対してはたして妥当な報酬であるだろうか?」という設問である。
なるほど、うまい設問だなと感心した。これに対して学生たちが活発に意見を述べ合う。同時通訳がつくが、流暢な英語をしゃべる学生もいる。サンデル教授は適度にコメントを入れて、学生の対話が盛り上がるように誘導していく。日本人は議論が下手だと言われているが、ここに集まった人々は、そんなことを全く感じさせなかった。
さらには、「日本政府は東南アジアに謝罪すべきか」「オバマ大統領は原爆投下について責任はあるか」と微妙な設問が続いていく。2時間の予定が1時間半も超過する、白熱の討議であった。
その映像は、東大が下記に公開している。
http://itunes.apple.com/us/itunes-u/id448069376
その後、日本国内でも、すでに行われているこうした対話型の授業が捜し出されて取材されるところとなった。本も色々出版されたが、NHK教育テレビでは、今年の1月より、白熱教室JAPANシリーズとしてずっと紹介されている。すでに、5つの大学の授業風景が紹介されてきた。8月は夏休みであったが9月からまた再開される。
http://www.nhk.or.jp/hakunetsu/japan.html
これを見て感じたのは、学生から意見を引き出すには、教員の力量がものすごく問われるものだということであった。答えというものは問いに応じてしか返ってこない。問うことによって考えさせ、意識を芽生えさせ、自分の考えを深めていく。
そこには圧倒的な知識と問題意識と知恵がなければならない。とても自分には出来そうにないなと思いつつ、これこそが、真の教育というものなのだなとも思った。
サンデル教授自身がこう語っている。「最高の教育とは、自分自身でいかに考えるかを学ぶことである。」 学生が学ぶ前に、教師のほうがまず大いに学ぶ必要がありそうだと感ずる次第であった。
当大学でも、遅ればせながら、学生自身が意見を出して討論するブレーンストーミング的な授業を試みようしている。理工系では、特に難しそうであるが、これを成功させるためには、何とか知恵を絞って、よい設問を考え出していかねばならない。
しかし、深い哲学の学識を持ち、ハーバード大学の俊英の学生たちを相手に、臨気応変の対応をする、サンデル教授の授業は本当に素晴らしい。
ハーバード大学が初めて門外に公開したというのも、大学の相当な自信のあらわれでもあるのだろう。哲学など無用で遠い世界のものだと思っていた人々の、認識を大きく変えた効用も大きいと思う。
我々も日常、哲学という言葉は使わないが、Philosophy という言葉はよく使う。どういうPhilosophy でこの論文は書かれたのだとか、あの人の行動にはPhilosophyが無いというような使い方をする。Philosophy とは基本的考え方、見方、方針、思想という意味も持つ。サンデル教授の教えているのは、日本語で言う哲学ではなく、人生を生きる上でのPhilosophy そのものなのではないかという気がする。

「行為の道徳的価値観は動機で決まる」という言葉につい引かれて見ていると、講義のあとに学生たちと熱のこもった対話が開始された。
その授業の進め方と学生たちの生き生きとした反応に大いに興味を持って最後まで見終えたのだが、この番組は、ハーバード大学の超人気講義を、同大学が初めて外部へ公表したものとの説明があり、なるほどよいものを見させてもらったと大いに納得した。
この、サンデル教授の白熱教室シリーズは、皆の注目を集めて、大きな話題となった。
昨年8月にはサンデル教授が来日し、東大安田講堂において、東大生300名と10倍の競争率の一般公募の500名が参加して、講義が行われ、その様子が9月にNHKで放映された。
そこで、サンデル教授が最初に提示したのは、「イチローは1800万ドルの年俸であるが、オバマ大統領は40万ドルであり45倍の差がある。これは両者が行っている仕事に対してはたして妥当な報酬であるだろうか?」という設問である。
なるほど、うまい設問だなと感心した。これに対して学生たちが活発に意見を述べ合う。同時通訳がつくが、流暢な英語をしゃべる学生もいる。サンデル教授は適度にコメントを入れて、学生の対話が盛り上がるように誘導していく。日本人は議論が下手だと言われているが、ここに集まった人々は、そんなことを全く感じさせなかった。
さらには、「日本政府は東南アジアに謝罪すべきか」「オバマ大統領は原爆投下について責任はあるか」と微妙な設問が続いていく。2時間の予定が1時間半も超過する、白熱の討議であった。
その映像は、東大が下記に公開している。
http://itunes.apple.com/us/itunes-u/id448069376
その後、日本国内でも、すでに行われているこうした対話型の授業が捜し出されて取材されるところとなった。本も色々出版されたが、NHK教育テレビでは、今年の1月より、白熱教室JAPANシリーズとしてずっと紹介されている。すでに、5つの大学の授業風景が紹介されてきた。8月は夏休みであったが9月からまた再開される。
http://www.nhk.or.jp/hakunetsu/japan.html
これを見て感じたのは、学生から意見を引き出すには、教員の力量がものすごく問われるものだということであった。答えというものは問いに応じてしか返ってこない。問うことによって考えさせ、意識を芽生えさせ、自分の考えを深めていく。
そこには圧倒的な知識と問題意識と知恵がなければならない。とても自分には出来そうにないなと思いつつ、これこそが、真の教育というものなのだなとも思った。
サンデル教授自身がこう語っている。「最高の教育とは、自分自身でいかに考えるかを学ぶことである。」 学生が学ぶ前に、教師のほうがまず大いに学ぶ必要がありそうだと感ずる次第であった。
当大学でも、遅ればせながら、学生自身が意見を出して討論するブレーンストーミング的な授業を試みようしている。理工系では、特に難しそうであるが、これを成功させるためには、何とか知恵を絞って、よい設問を考え出していかねばならない。
しかし、深い哲学の学識を持ち、ハーバード大学の俊英の学生たちを相手に、臨気応変の対応をする、サンデル教授の授業は本当に素晴らしい。
ハーバード大学が初めて門外に公開したというのも、大学の相当な自信のあらわれでもあるのだろう。哲学など無用で遠い世界のものだと思っていた人々の、認識を大きく変えた効用も大きいと思う。
我々も日常、哲学という言葉は使わないが、Philosophy という言葉はよく使う。どういうPhilosophy でこの論文は書かれたのだとか、あの人の行動にはPhilosophyが無いというような使い方をする。Philosophy とは基本的考え方、見方、方針、思想という意味も持つ。サンデル教授の教えているのは、日本語で言う哲学ではなく、人生を生きる上でのPhilosophy そのものなのではないかという気がする。

by sakuraimac
| 2011-09-02 12:34
| 教育・大学
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