2012年 02月 02日
小笠原泰先生のリーダーシップ特論 |
昨年の10/23 にNHKで放送された白熱教室JAPN において、明治大学の小笠原泰先生が、日本と欧米のリーダーシップについて大変興味深い講義をされていた。 海外でのビジネスのご経験を背景にした、面白いお話の数々と、学生への上手な語りかけに、感心して番組に見入ってしまった。この講義に魅せられた私は、その後、明治大学の広報部にコンタクトして、小笠原先生に本学での講演をお願いしてみた。小笠原先生は、その著書の一部が、センター入試の国語の問題文に引用されているような有名な方なので、ちょっと無理かなと思っていたのだが、予想外にもすぐにご快諾をいただくことができた。その結果、本学の大学院学生向けの人気講座 「リーダーシップ特論」において、1/25 と2/1 の2回の特別講義が実現した次第である。
小笠原先生の講義の趣旨は、海外と共同してビジネスを行う場合に、まず日本人としての自己の特殊性を認識し、欧米の文化との違いをしっかり理解した上で、グローバルに考える必要があるというものである。さらには、欧米と日本の企業統治の違いを明確にして、欧米と日本のリーダーシップの違いの本質にせまる。大変刺激的で新鮮な内容であり、これからの国際化時代を生き抜いていかねばならない学生たちにとって、非常に有益なお話だったと思う。
ここで、2 回に渡る総計6 時間の講義の概略を、紹介してみたい。
[1]自己構造と言語
① 外国人との間の「差異の認識と共通性の模索」が重要である。
② 差異の認識には、自己の文化(日本的・日本型)を理解することが必要である。
③ 日本の自己構造は、欧米の絶対的自我に比べ、相対的自我である。(相手や状況によって、様々な一人称の呼び方がある。英語では I のみである。)
④ 場をはずす( KY )というものを、欧米人は、peer pressure と呼んで嫌う。空気によって自分の意見を変えることは決してしない。
⑤ これらは、日本語というあいまいな言語によく現れている。言語が先か、文化が先かは判別がつかないのであるが。
[2]思考メカニズムと組織の関わり
① 相対的自己構造においては、自己の機能より集団内での相対的位置が優先される。
② 組織に属する意識は、欧米では参加であり、日本では帰属である。参加は組織解散が前提であり、帰属は組織存続が前提である。
③ 欧米の会社は目的が終了すれば解散する。一方、日本の企業は目的を変えても生き残ろうとする。この結果、業態を変えた老舗企業が多くなる。
④ 仕事を遂行する上では、参加前提の欧米ではポジション(機能)であり、帰属前提の日本では役割(人)が前提となる。
⑤ 機能を前提とすると、Job Description (職務記述書)すなわちマニュアルが必要不可欠となる。一方、役割主体の日本の企業では、マニュアル化は極めて難しい。
[3]組織の基本原理とリーダーシップ
① 欧米は個の主体性を前提とし再現性を重視する設計的で硬い社会である(モノの世界)。日本は思いの共有化を基礎としプロセスを重視する柔らかい社会である(ことの世界)
② 米国社会での行動規範としては、「友好的」、「正直」、「衝突・摩擦の回避」があげられる。友好的なのは多民族国家なので敵意がないことをまず示すことが重要だからである。正直ということはウソをつかないということで、すべてを明らかにするということではないことに注意が必要。摩擦回避は特に米国人が尊重することである。
③ 米国では、自己の意見・見解を持つことが重要。それがよいか悪いかは二義的である。逆に日本では、意見の有無ではなくその善し悪しが重要となる。その結果、ディベートが成り立たない。
④ 欧米では、リーダーとは権力( Power )を有する者である。日本では、権威とコントロールを分離する。この分離は組織の各階層において入れ子構造になっている。したがってトップダウンというものが成り立たない。
⑤ 権威とコントロールが分離される理由は、既存の役割構造を維持し急激な構造変化を避けるためである。結果として、環境変化への対応は欧米では抜本的な制度変更、日本ではゆるい制度における運用での対応ということになる。
⑥ 日本型組織におけるスキルとは組織固有の運用スキルとなる。したがって、会社が変わると応用が効かない。すなわち転職ができない社会となっている。
⑦ 得意とするのは、米国では意思決定、日本ではインプリメンテーションとなる。この結果、不確実性の高い時には米国は強みを示し、不確実性が低い場合には日本が強みを発揮する。
⑧ 日本人としてグローバルに活動するためには、ローカルなアイデンティを認識し、次にローバルに思考し、グローバルな状況を理解し、最後にはローカルに行動するということが求められる。
上記の文字の羅列では全く伝わらないが、小笠原先生のお話は随所に色々な実例や先生の面白い個人感想が散りばめられており、また、常に学生の意見を求めてマイクを向けるという、大変、刺激的な授業でもある。今後も毎年来ていただけることになっており、さらには、他の面白いお話をしてくれそうな講師も紹介していただけるとのことで、次年度からは、さらにこの「リーダーシップ特論」が充実したものになっていくことが期待される。
理系の学生は、こういう文系の優れた方のお話を聞く機会が非常に少ない。こういう貴重な機会は、学生職君にはぜひ有効に活用してもらいたいと思う。この講義自体はオープンなので、履修登録していなくとも、学部生でも興味のある方は、ぜひ聴講していただきたいと思う。

小笠原先生の講義の趣旨は、海外と共同してビジネスを行う場合に、まず日本人としての自己の特殊性を認識し、欧米の文化との違いをしっかり理解した上で、グローバルに考える必要があるというものである。さらには、欧米と日本の企業統治の違いを明確にして、欧米と日本のリーダーシップの違いの本質にせまる。大変刺激的で新鮮な内容であり、これからの国際化時代を生き抜いていかねばならない学生たちにとって、非常に有益なお話だったと思う。
ここで、2 回に渡る総計6 時間の講義の概略を、紹介してみたい。
[1]自己構造と言語
① 外国人との間の「差異の認識と共通性の模索」が重要である。
② 差異の認識には、自己の文化(日本的・日本型)を理解することが必要である。
③ 日本の自己構造は、欧米の絶対的自我に比べ、相対的自我である。(相手や状況によって、様々な一人称の呼び方がある。英語では I のみである。)
④ 場をはずす( KY )というものを、欧米人は、peer pressure と呼んで嫌う。空気によって自分の意見を変えることは決してしない。
⑤ これらは、日本語というあいまいな言語によく現れている。言語が先か、文化が先かは判別がつかないのであるが。
[2]思考メカニズムと組織の関わり
① 相対的自己構造においては、自己の機能より集団内での相対的位置が優先される。
② 組織に属する意識は、欧米では参加であり、日本では帰属である。参加は組織解散が前提であり、帰属は組織存続が前提である。
③ 欧米の会社は目的が終了すれば解散する。一方、日本の企業は目的を変えても生き残ろうとする。この結果、業態を変えた老舗企業が多くなる。
④ 仕事を遂行する上では、参加前提の欧米ではポジション(機能)であり、帰属前提の日本では役割(人)が前提となる。
⑤ 機能を前提とすると、Job Description (職務記述書)すなわちマニュアルが必要不可欠となる。一方、役割主体の日本の企業では、マニュアル化は極めて難しい。
[3]組織の基本原理とリーダーシップ
① 欧米は個の主体性を前提とし再現性を重視する設計的で硬い社会である(モノの世界)。日本は思いの共有化を基礎としプロセスを重視する柔らかい社会である(ことの世界)
② 米国社会での行動規範としては、「友好的」、「正直」、「衝突・摩擦の回避」があげられる。友好的なのは多民族国家なので敵意がないことをまず示すことが重要だからである。正直ということはウソをつかないということで、すべてを明らかにするということではないことに注意が必要。摩擦回避は特に米国人が尊重することである。
③ 米国では、自己の意見・見解を持つことが重要。それがよいか悪いかは二義的である。逆に日本では、意見の有無ではなくその善し悪しが重要となる。その結果、ディベートが成り立たない。
④ 欧米では、リーダーとは権力( Power )を有する者である。日本では、権威とコントロールを分離する。この分離は組織の各階層において入れ子構造になっている。したがってトップダウンというものが成り立たない。
⑤ 権威とコントロールが分離される理由は、既存の役割構造を維持し急激な構造変化を避けるためである。結果として、環境変化への対応は欧米では抜本的な制度変更、日本ではゆるい制度における運用での対応ということになる。
⑥ 日本型組織におけるスキルとは組織固有の運用スキルとなる。したがって、会社が変わると応用が効かない。すなわち転職ができない社会となっている。
⑦ 得意とするのは、米国では意思決定、日本ではインプリメンテーションとなる。この結果、不確実性の高い時には米国は強みを示し、不確実性が低い場合には日本が強みを発揮する。
⑧ 日本人としてグローバルに活動するためには、ローカルなアイデンティを認識し、次にローバルに思考し、グローバルな状況を理解し、最後にはローカルに行動するということが求められる。
上記の文字の羅列では全く伝わらないが、小笠原先生のお話は随所に色々な実例や先生の面白い個人感想が散りばめられており、また、常に学生の意見を求めてマイクを向けるという、大変、刺激的な授業でもある。今後も毎年来ていただけることになっており、さらには、他の面白いお話をしてくれそうな講師も紹介していただけるとのことで、次年度からは、さらにこの「リーダーシップ特論」が充実したものになっていくことが期待される。
理系の学生は、こういう文系の優れた方のお話を聞く機会が非常に少ない。こういう貴重な機会は、学生職君にはぜひ有効に活用してもらいたいと思う。この講義自体はオープンなので、履修登録していなくとも、学部生でも興味のある方は、ぜひ聴講していただきたいと思う。

by sakuraimac
| 2012-02-02 18:15
| 講演会
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