2012年 03月 23日
秘書さん |
大企業のえらい役職に着くと必ず専属の秘書さんがつく。秘書さんは会社の顔ともなるので、会社もそれなりに厳選した人を配置する。こういう秘書さん方は皆有能であるが、一般社員とは離れて浮いた存在になってしまうため、ある種の疎外感のようなものを感じている人もけっこう多いようだ。
こうした秘書さん達は、一般の社員から話しかけてみると、案外と喜んで相手をしてくれる。私は、別に下心があった訳ではないが、会社時代は秘書さんたちとは、結構仲良くしていた。
あるとき、会社内で一大プロジェクトが結成された。2つの事業部にまたがり、総勢200名が参加する、事業部の存亡をかけたプロジェクトでもあった。
私はその骨格作りに有志とともに奔走していたのだが、最後に、必要なキーとなる先端の専門技術者2名がどうしても得られないという難題が残された。大企業特有の組織の壁が立ちはだかり、社内には反対派も多かったため、事業部長といえども中々うかつには手を出すことができずに、事態は暗礁に乗り上げてしまった。
そこで、私は考えた末、社内の技術を統括するトップの技術担当の専務に直訴状を出すことを思いついた。忙しい専務なので、メールなどは見てくれそうにない。直訴状を社内便で送っても、面識のない一介の主幹クラスの文書など、会議スケジュールで一杯の会社内ではまずは読んでもらえないだろう。
そこで、自宅に送りつければ、きっと、休日くらいには目を通してくれるだろうと期待を持って、10 頁に渡る直訴状を徹夜で書き上げた。
さて、そこで困ったのが、専務の自宅の住所が分からないことである。社内といえども、経営トップの役員の個人情報などは、一般社員にはまず手には入らない。
そこで、私は親しくしていた事業部長の秘書さんに相談してみた。そしたら運のよいことに、専務の秘書は自分の友人だという。そこで私は「専務にはある件で大変お世話になった。お礼に年賀状を出したいのだが住所を聞いてもらえないだろうか。」と頼んでみた。そうしたら、予想外にあっさりと専務の自宅住所が手に入った。
そこで、万を持して金曜日に郵便が届くように発送した。そうしたら、日曜の夜に直接に専務から私の自宅に電話がかかってきて、「事態は分かった。すぐに対処する。」という返答があった。
それから、2,3日後に、待望の人材2名が、プロジェクトに派遣されることが決定された。どうせ、要の人材が得られなくて、いつもの通りにまた失敗するに違いないと斜めに構えていたプロジェクトのキーメンバーたちは、この瞬間、会社がいかにこのプロジェクトに本気かということを肌身に感じて、その日から皆の目の色が変わった。
私は、その時、このプロジェクトの成功を確信した。
ただし、虎の子の人材を強引に引きぬかれた相手先の部長からは、「裏で画策したのはお前だろう。」とたいへんな剣幕で怒鳴りこまれた。「さあ、何のことですか?」としらばくれていたが、結局は最後にプロジェクトが成功したあとには、彼とは親友になることができた。(彼も、過去の無数の失敗プロジェクトと同様に、貴重な人材をつぶされてはたまらないと懸念して反対していただけなので、成功しそうだと分かったら、大きく態度が変わった。)
プロジェクトには、ある要というものがある。それは、担当レベルでは分かっていても、一見小さな問題として見過ごされてしまって、上にはうまく伝わらないことが多い。
形が整いさえすれば、回りもトップもそれで安心してしまう。しかし、声を出せない担当レベルが、一番その要(穴)をよく分かっており、プロジュクトの成否のツボをよく理解している。それが大組織の中では中々うまく上のほうには伝わらない。
このようにして、山のような失敗プロジェクトが社内に積み上げられてきたのを私はずっと見てきた。
その経験が、このちょっと非常識な、技術トップの自宅に直訴状を出すという行動に私を駆り立てた訳である。(あまり他人には勧められない行為ではあるが・・・。)
この社内でも久方ぶりの成功プロジェクトの要の獲得に、一役買ったのは、実は、秘書さん経由の年賀状の話であったということは、社内でも誰にも話したことはなかったのだが、10年以上も経ちそろそろ時効かなとも思ったので、ここでちょっと披露して見る気になった次第である。
まあ、こういう特殊な場合は例外としても、日常の仕事の小さなことでも役に立つことは結構多いので、身近にいる秘書さんたちとは日頃から仲良くしておくことを、会社に入る皆さん方にはぜひお勧めしておきたいと思う。
こうした秘書さん達は、一般の社員から話しかけてみると、案外と喜んで相手をしてくれる。私は、別に下心があった訳ではないが、会社時代は秘書さんたちとは、結構仲良くしていた。
あるとき、会社内で一大プロジェクトが結成された。2つの事業部にまたがり、総勢200名が参加する、事業部の存亡をかけたプロジェクトでもあった。
私はその骨格作りに有志とともに奔走していたのだが、最後に、必要なキーとなる先端の専門技術者2名がどうしても得られないという難題が残された。大企業特有の組織の壁が立ちはだかり、社内には反対派も多かったため、事業部長といえども中々うかつには手を出すことができずに、事態は暗礁に乗り上げてしまった。
そこで、私は考えた末、社内の技術を統括するトップの技術担当の専務に直訴状を出すことを思いついた。忙しい専務なので、メールなどは見てくれそうにない。直訴状を社内便で送っても、面識のない一介の主幹クラスの文書など、会議スケジュールで一杯の会社内ではまずは読んでもらえないだろう。
そこで、自宅に送りつければ、きっと、休日くらいには目を通してくれるだろうと期待を持って、10 頁に渡る直訴状を徹夜で書き上げた。
さて、そこで困ったのが、専務の自宅の住所が分からないことである。社内といえども、経営トップの役員の個人情報などは、一般社員にはまず手には入らない。
そこで、私は親しくしていた事業部長の秘書さんに相談してみた。そしたら運のよいことに、専務の秘書は自分の友人だという。そこで私は「専務にはある件で大変お世話になった。お礼に年賀状を出したいのだが住所を聞いてもらえないだろうか。」と頼んでみた。そうしたら、予想外にあっさりと専務の自宅住所が手に入った。
そこで、万を持して金曜日に郵便が届くように発送した。そうしたら、日曜の夜に直接に専務から私の自宅に電話がかかってきて、「事態は分かった。すぐに対処する。」という返答があった。
それから、2,3日後に、待望の人材2名が、プロジェクトに派遣されることが決定された。どうせ、要の人材が得られなくて、いつもの通りにまた失敗するに違いないと斜めに構えていたプロジェクトのキーメンバーたちは、この瞬間、会社がいかにこのプロジェクトに本気かということを肌身に感じて、その日から皆の目の色が変わった。
私は、その時、このプロジェクトの成功を確信した。
ただし、虎の子の人材を強引に引きぬかれた相手先の部長からは、「裏で画策したのはお前だろう。」とたいへんな剣幕で怒鳴りこまれた。「さあ、何のことですか?」としらばくれていたが、結局は最後にプロジェクトが成功したあとには、彼とは親友になることができた。(彼も、過去の無数の失敗プロジェクトと同様に、貴重な人材をつぶされてはたまらないと懸念して反対していただけなので、成功しそうだと分かったら、大きく態度が変わった。)
プロジェクトには、ある要というものがある。それは、担当レベルでは分かっていても、一見小さな問題として見過ごされてしまって、上にはうまく伝わらないことが多い。
形が整いさえすれば、回りもトップもそれで安心してしまう。しかし、声を出せない担当レベルが、一番その要(穴)をよく分かっており、プロジュクトの成否のツボをよく理解している。それが大組織の中では中々うまく上のほうには伝わらない。
このようにして、山のような失敗プロジェクトが社内に積み上げられてきたのを私はずっと見てきた。
その経験が、このちょっと非常識な、技術トップの自宅に直訴状を出すという行動に私を駆り立てた訳である。(あまり他人には勧められない行為ではあるが・・・。)
この社内でも久方ぶりの成功プロジェクトの要の獲得に、一役買ったのは、実は、秘書さん経由の年賀状の話であったということは、社内でも誰にも話したことはなかったのだが、10年以上も経ちそろそろ時効かなとも思ったので、ここでちょっと披露して見る気になった次第である。
まあ、こういう特殊な場合は例外としても、日常の仕事の小さなことでも役に立つことは結構多いので、身近にいる秘書さんたちとは日頃から仲良くしておくことを、会社に入る皆さん方にはぜひお勧めしておきたいと思う。
by sakuraimac
| 2012-03-23 20:46
| 仕事
|
Comments(8)
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
jayjayさん、早速のコメントありがとうございます。
やはり、仕事のできる方々は秘書さんの大切さをよく理解しているのですね。日ごろからよい人間関係を築いておくことは仕事をうまく進める上では非常に大切かと思うのですが、秘書さんとのよい関係を築いておくということは意外と皆さんの盲点になっているようです。(それだけに、それに気付く人には有利になるのでしょうけれど。)
ところで、デールの法則とは何ですか? ちょっと調べてみたのですが、分からなかったのでご教示いただければ幸いです。
やはり、仕事のできる方々は秘書さんの大切さをよく理解しているのですね。日ごろからよい人間関係を築いておくことは仕事をうまく進める上では非常に大切かと思うのですが、秘書さんとのよい関係を築いておくということは意外と皆さんの盲点になっているようです。(それだけに、それに気付く人には有利になるのでしょうけれど。)
ところで、デールの法則とは何ですか? ちょっと調べてみたのですが、分からなかったのでご教示いただければ幸いです。
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jayjayさん、今、気がついたのですが、いつも貴重なコメントをいただいているのですが、非公開コメントに設定されてしまっているため、私からしか見られません。今後は、ぜひ、非公開コメントのところにはチェックを入れないで投稿してください。よろしくお願い申し上げます。
jayjayさんの最初のコメントが非公開になっているので、私のほうで公開させていただきます。
Commented by jayjay
技術役員のスケジュールを一手に管理している初老の役員秘書がいて、ハードルが高くアポを得れない中、私は比較的楽にアポを取っていた。皆が恐れていた彼女に、私は笑顔でバレンタイには美味しい欧州のチョコをプレゼントしていた。先輩の有能な営業課長は、某社のトップに容易に電話をつないでもらっていた。レセプショニストの誕生日に花を毎年贈っていた。 大変厳しい某国領事に御無理を御願する日に備え、甘党の秘書の方に多種多様の御饅頭を何も云わずに御持ちしているうち、本当に仲良しになった。 御願いなど忘れていた頃にその時が来て、仲介の支援を頂いた。 先生も先輩も私も秘書の方に関心を持ち、好意を抱き、彼女達も好意を抱いてくれたのだ。 そこがポイントだ。 デールの法則に従ったまでのこと、利用したのではない。 女性はそんなに甘くないのだ、学生諸君! (老いも若きも、性も関係なく、有能な秘書の方は人間的にも素晴らしい魅力ある人達が多いというのが私の印象です。)
Commented by jayjay
技術役員のスケジュールを一手に管理している初老の役員秘書がいて、ハードルが高くアポを得れない中、私は比較的楽にアポを取っていた。皆が恐れていた彼女に、私は笑顔でバレンタイには美味しい欧州のチョコをプレゼントしていた。先輩の有能な営業課長は、某社のトップに容易に電話をつないでもらっていた。レセプショニストの誕生日に花を毎年贈っていた。 大変厳しい某国領事に御無理を御願する日に備え、甘党の秘書の方に多種多様の御饅頭を何も云わずに御持ちしているうち、本当に仲良しになった。 御願いなど忘れていた頃にその時が来て、仲介の支援を頂いた。 先生も先輩も私も秘書の方に関心を持ち、好意を抱き、彼女達も好意を抱いてくれたのだ。 そこがポイントだ。 デールの法則に従ったまでのこと、利用したのではない。 女性はそんなに甘くないのだ、学生諸君! (老いも若きも、性も関係なく、有能な秘書の方は人間的にも素晴らしい魅力ある人達が多いというのが私の印象です。)
デールの法則とは、Dale Carnegieの「人を動かす」に記された様々なゴールデン・ルールを略したものです。原題は“How to win Friends and Influence People", 「良き友を得て影響力を発揮する方法」とでも訳すのでしょうか、第2章の人に好かれる方法の6項目を、先生も営業課長も私も、秘書の方と懇意になるまでに行っていたのだと思います。 私の2例は、年上の方で接点もなく役職も実力も相当上の皆さんでしたので、誠実な関心を寄せ、笑顔を忘れず、名前をフルネームで記憶し、聞き手になり、関心の領域に注意を払い、心から褒めるところは褒め、御友達?になって頂くよう努めて、ハードルを少しづつ下げて行ったのです。 先生もデールの推奨者であり、手抜きをし御迷惑をおかけしました。
jayjayさん、これで非公開の件はOKです。皆さんから見られるようになりました。
デールってカーネギーのことだったのですね。この本の邦題はたしか「人を動かす」でしたよね。よい本だと思います。
米国人は論理的でビジネスライクなのかと思っていたら、それだけではなくて、成功する人は、皆人間というものへの深い洞察と理解を持っているという事実は、国境を越えて同じなのだとうことをこの本から学びました。人間を動かす原理というのは、世界中どこでも全く同じなのだということを。
デールってカーネギーのことだったのですね。この本の邦題はたしか「人を動かす」でしたよね。よい本だと思います。
米国人は論理的でビジネスライクなのかと思っていたら、それだけではなくて、成功する人は、皆人間というものへの深い洞察と理解を持っているという事実は、国境を越えて同じなのだとうことをこの本から学びました。人間を動かす原理というのは、世界中どこでも全く同じなのだということを。
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
jayjayさん、公開・非公開の件、了解いたしました。1部の記事を勝手に公開して誠に申し訳ありませんでした。(非常に貴重なコメントであり皆さんにも役立つと思いましたので。)
なお、今後、本ブログへのコメントはできるだけ公開にしていただければと思っております。細心の注意は払いつつ責任を持って公開するというのは、私のポリシーでもありますので。(また、見る人からすると非公開という表示は、けっこう不快感を与えてしまうと思います。)
このブログは学生に人気で、特に就職関連の記事は、どうやって見つけたのか東京の学生からもコメントが来ました。最初は学生向きに始めたのですが、最近は、企業の人にも見てもらいたいなと思うようになりました。
なお、私は大学教員という気軽な身分なもので、このブログは実名で始めようかと思っていたのですが、周囲の反対に会って、匿名にしました。ただ、ハンドルネームや大学の建物の写真からその気になれば容易に個人が特定できるようにあえてしております。もともとが学内向けだったし、外からそれを調べる暇な人はまずいないと思ってます・・・。
なお、今後、本ブログへのコメントはできるだけ公開にしていただければと思っております。細心の注意は払いつつ責任を持って公開するというのは、私のポリシーでもありますので。(また、見る人からすると非公開という表示は、けっこう不快感を与えてしまうと思います。)
このブログは学生に人気で、特に就職関連の記事は、どうやって見つけたのか東京の学生からもコメントが来ました。最初は学生向きに始めたのですが、最近は、企業の人にも見てもらいたいなと思うようになりました。
なお、私は大学教員という気軽な身分なもので、このブログは実名で始めようかと思っていたのですが、周囲の反対に会って、匿名にしました。ただ、ハンドルネームや大学の建物の写真からその気になれば容易に個人が特定できるようにあえてしております。もともとが学内向けだったし、外からそれを調べる暇な人はまずいないと思ってます・・・。

