2012年 05月 12日
半導体産業 |
先週、エルピーダメモリが米国マイクロンに買収されたとの報道がなされた。かつては日本が世界を席捲したDRAMの国産企業が完全に無くなることとなった。これで、半導体産業で日本に残っている大手の企業は、マイコンのルネサスと、フラッシュメモリの東芝の2社のみとなってしまったわけであり、誠に寂しいことでもある。
半導体産業(集積回路)には、いわば20世紀に開発された電子工学の技術のほとんどすべてが集積されているといっても過言ではない。1948年にショックレーがトランジスタを発明して以来、それは、世界中の研究者・技術者たちの不断の努力によって、シリコンチップ上に膨大な数が集積化されるようになった。その結果、コンピュータやテレビをはじめとする世の中のあらゆる電子機器が、1Cm四方のシリコンチップの上に実現されることとなった。(これをシステム・オン・チップ(SOC)という)
これが、産業の発展、人々の生活向上に果たした役割には計り知れないものがある。またそこに費やされてきた研究と技術ノウハウには実に膨大なものがある。そこにおいて果たされた日本の貢献は非常に大きく、1990年前後においては世界の半導体産業は、ほとんど日本の電気メーカがささえていた。
しかしながら、高度な技術ノウハウが、人の頭の中ではなく、半導体の製造装置の中にすべてが吸収されてしまったことが不幸なことであった。関連産業である装置産業は、半導体製造設備を海外にも輸出する。その結果、気がついた時には、台湾、韓国にあっと言う間に追いつかれ、規模の勝負に持ち込まれた結果、日本の企業は次々と敗退することになってしまった。
大学では、集積回路設計という授業を担当しているのだが、そこに込められている技術のものすごさというものに、毎回、説明しながら自分自身が感銘を受けてしまう。これだけのすごい技術の上に成り立っている集積回路のチップが、かき餅のように量産され、野菜のよう価格変動するという実情には、何とも割り切れない思いを感じざるを得ない。
資本主義の現実だと言えば仕方がないことなのかもしれないが、費やされた努力が正当に評価されない市場原理というものには、技術者としては割り切れない思いが募るこの頃でもある。
半導体産業(集積回路)には、いわば20世紀に開発された電子工学の技術のほとんどすべてが集積されているといっても過言ではない。1948年にショックレーがトランジスタを発明して以来、それは、世界中の研究者・技術者たちの不断の努力によって、シリコンチップ上に膨大な数が集積化されるようになった。その結果、コンピュータやテレビをはじめとする世の中のあらゆる電子機器が、1Cm四方のシリコンチップの上に実現されることとなった。(これをシステム・オン・チップ(SOC)という)
これが、産業の発展、人々の生活向上に果たした役割には計り知れないものがある。またそこに費やされてきた研究と技術ノウハウには実に膨大なものがある。そこにおいて果たされた日本の貢献は非常に大きく、1990年前後においては世界の半導体産業は、ほとんど日本の電気メーカがささえていた。
しかしながら、高度な技術ノウハウが、人の頭の中ではなく、半導体の製造装置の中にすべてが吸収されてしまったことが不幸なことであった。関連産業である装置産業は、半導体製造設備を海外にも輸出する。その結果、気がついた時には、台湾、韓国にあっと言う間に追いつかれ、規模の勝負に持ち込まれた結果、日本の企業は次々と敗退することになってしまった。
大学では、集積回路設計という授業を担当しているのだが、そこに込められている技術のものすごさというものに、毎回、説明しながら自分自身が感銘を受けてしまう。これだけのすごい技術の上に成り立っている集積回路のチップが、かき餅のように量産され、野菜のよう価格変動するという実情には、何とも割り切れない思いを感じざるを得ない。
資本主義の現実だと言えば仕方がないことなのかもしれないが、費やされた努力が正当に評価されない市場原理というものには、技術者としては割り切れない思いが募るこの頃でもある。
by sakuraimac
| 2012-05-12 23:58
| 社会
|
Comments(2)
御指摘の通りです。当時は東北大の西沢教授が半導体技術への貢献で、ノーベル賞に最も近い研究者の一人と言われ、産学ともに世界に誇る力がありました。政府も当産業育成に力を注いでいました。今、液晶技術も同様のプロセスで流出し競争力を失いつつあるという識者も
います。日本のコア技術が安易に流失してしまう現状を憂いています。これは日本だけの現象ではなく、世界一の太陽光パネルメーカのドイツ企業が中国の安値攻勢で凋落、米国企業も倒産、等の事象は、同種の原因も潜んでいると推定しています。技術流出のプロセスは、御指摘の設備ルートと人材スカウトルート等があります。中国・台湾・韓国企業に、今危機的状況のテレビ関連技術者が高額の処遇で海外企業に過去転職していきました。フラット化・グローバル化社会とは、技術・人材が世界規模で、処遇(給与や研究環境)のより良い所へ、製造はコストのより安価な所や成長市場へ流れていきやすい事業環境である、とも換言できます。 「技術や人材をどう守っていくか」、「次世代技術の何をいつまでに獲得し市場投入をいつどのように行うか」という基本命題を従来以上に真剣に考える時代であると考えます。
います。日本のコア技術が安易に流失してしまう現状を憂いています。これは日本だけの現象ではなく、世界一の太陽光パネルメーカのドイツ企業が中国の安値攻勢で凋落、米国企業も倒産、等の事象は、同種の原因も潜んでいると推定しています。技術流出のプロセスは、御指摘の設備ルートと人材スカウトルート等があります。中国・台湾・韓国企業に、今危機的状況のテレビ関連技術者が高額の処遇で海外企業に過去転職していきました。フラット化・グローバル化社会とは、技術・人材が世界規模で、処遇(給与や研究環境)のより良い所へ、製造はコストのより安価な所や成長市場へ流れていきやすい事業環境である、とも換言できます。 「技術や人材をどう守っていくか」、「次世代技術の何をいつまでに獲得し市場投入をいつどのように行うか」という基本命題を従来以上に真剣に考える時代であると考えます。
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製造設備からノウハウが流出すると気がついた部品メーカは、設備を自社で持つことに注力しているようです。
人材流出ルートはもうひとつの日本の抱える大きな課題ですね。米国のように有能な人材が自ら動くのならともかく、日本の場合は企業が有能な高齢者に働く場を提供できていないところに問題があるような気がします。韓国にスカウトされた人々は望んで行く訳ではなく、日本の企業に居場所がないので仕方なく行くのではないかと思います。日本は自分で自分の首を締めているように感じます。不幸なことです。
ご指摘の2つの命題は大変重要な課題ですね。優良な中小企業は皆これを真剣に考えているようです。大手の大企業のほうが、水平統合と垂直統合の間で悩み、上手く手を打てていないところに問題を感じます。
人材流出ルートはもうひとつの日本の抱える大きな課題ですね。米国のように有能な人材が自ら動くのならともかく、日本の場合は企業が有能な高齢者に働く場を提供できていないところに問題があるような気がします。韓国にスカウトされた人々は望んで行く訳ではなく、日本の企業に居場所がないので仕方なく行くのではないかと思います。日本は自分で自分の首を締めているように感じます。不幸なことです。
ご指摘の2つの命題は大変重要な課題ですね。優良な中小企業は皆これを真剣に考えているようです。大手の大企業のほうが、水平統合と垂直統合の間で悩み、上手く手を打てていないところに問題を感じます。

