2012年 11月 28日
就職担当の雑感 |
11 月で、1年間勤めた電気電子工学科の就職担当の業務が終り、次年度の先生に引き継ぎを行った。この1 年間、学生たちとともに就職戦線に臨み、私自身色々勉強になることが多かった。
12 月からは、早速また次年度の学生たちの就職活動が始まるので、1 年間の感想をここでちょっとまとめて記してみたい。(名古屋地区の理工科系大学という条件内ではあるが)
1.大企業志向について:
大企業位志向は、学生のみならず親も含めて非常に根強いものがある。それを否定するつもりはないが、親の世代に比べて、大企業の安定性とそこにおける働きがいというものは、大きく変っていることを直視しなければならない。企業の将来性も含めて事前によく調べておくことを、学生にも親にも強く勧めたい。
2.優良企業とは:
中小の優良企業とはずいぶんと面談を行った。優良企業の条件としては、①他社がマネのしにくい独自技術を持っている、②経営が健全である(特に自己資本率とリーマンショック以降の営業利益)、③社長の方針がしっかりしている、④競合相手が比較的少ない、などがあげられる。(今の日本ではこれらの条件をほとんど満たしていない大企業が何と多いことか・・・)
優良中小企業は、目立たず学生の視野には中々入らないことが多い。できるだけ、私のほうから紹介するように心がけてきたが、こういう企業に学生の就職がうまく決まってくれたときは、就職担当としては本当に嬉しい思いがする。
3.コミュニケーション能力:
ほとんどの企業が学生に望む能力としてコミュニケーション能力を一番にあげている。これに関しては、以前に何度かこのブログにも書いたので、ご興味があれば参照いただければと思う。
http://sakuraimac.exblog.jp/15347575/
http://sakuraimac.exblog.jp/15565275/
コミュニケーション能力が重要なことに全く異存はないが、企業面接官が実力よりも弁舌のほうを優先するような傾向も多々見られ、私としてはちょっと行き過ぎではないかと疑問に感ずることも多かった。
4.学業・研究への影響について:
就職活動は、3年生の後期と、修士1年生の後期から始まる。この時期になると、学生たちは、就活に必死となり、3年生の授業への出席率は12月頃から急減し、また修士1年生の最も重要な時期に、半年間研究が完全にストップする。
学生にとっては一生の問題なので、教員のほうからもあまり苦言を呈することもできず、半ばあきらめの状態である。
企業が横並びで、一斉に門戸を開くのは日本独特の習慣(悪習)であり、これは何としても改善されるべき問題であると思う。東大が率先して提唱する秋入学制度が、解決策のひとつになるのではないかと大いに期待している。
5.海外志向について:
日本の学生の海外留学が、最近大幅に減少していることが話題となっている。NHKが東大生にインタビューをしたとき、全員が、「海外留学などをするとその間に就活に遅れを取るからやらない。」と答えているのを聞いて、ビックリしてしまった。これでは東大総長が秋入学に熱心になるのもよく分かるような気がする。
一方、企業のほうでは、生産拠点と営業拠点がどんどんと海外に移り、海外志向の人材が大量に必要となってきている。内向きの大学生と、外に出ていかねばならない日本の企業、その間のギャップは深刻な問題である。
6.エレクトロニクス技術者:
本学では、企業からの求人数が一番多い学科は、電気電子工学科である。最近の半導体産業や家電メーカーの業績不振から、エレクトロニクス技術者は需要が減っているのではないかと世の中には思われているかもしれないが、実態は全く異なる。
自動車、機械、化学、金属などのあらゆる製造業の分野において電子化が急速に進み、電機メーカー以外からのエレクトロニクス技術者への求人が非常に増えているのが実状である。(自動車や航空機はもはや機械ではなく電子機器だとも言われている。)
電気電子工学科というと、受験生には最近はそれほど人気がないようだが、この実態はぜひ高校生(とその親)には知っておいてもらいたいと思う。
以上、思いついたことを書いてみたが、やはり日本の将来は、技術立国を維持していくよりほかないのではではないかと感ずる。商業立国、金融立国というのは、農耕民族の日本人には、けっこう難しいのではないだろうか。(もちろん商社などで世界を飛び回って活躍する人もいるだろうが多数派ではないだろう。)
製造業でなくても、IT 分野でもゲームの分野でも、サービス体制の構築でも、全くかまわないと思うが、やはり、技術開発力を生かした新ビジネスの創出が必要であり、そうした分野での新たな起業の支援、人材の配置ということが、日本にとっては重要なのではないかと、この1年を通じて改めて感じた次第である。
12 月からは、早速また次年度の学生たちの就職活動が始まるので、1 年間の感想をここでちょっとまとめて記してみたい。(名古屋地区の理工科系大学という条件内ではあるが)
1.大企業志向について:
大企業位志向は、学生のみならず親も含めて非常に根強いものがある。それを否定するつもりはないが、親の世代に比べて、大企業の安定性とそこにおける働きがいというものは、大きく変っていることを直視しなければならない。企業の将来性も含めて事前によく調べておくことを、学生にも親にも強く勧めたい。
2.優良企業とは:
中小の優良企業とはずいぶんと面談を行った。優良企業の条件としては、①他社がマネのしにくい独自技術を持っている、②経営が健全である(特に自己資本率とリーマンショック以降の営業利益)、③社長の方針がしっかりしている、④競合相手が比較的少ない、などがあげられる。(今の日本ではこれらの条件をほとんど満たしていない大企業が何と多いことか・・・)
優良中小企業は、目立たず学生の視野には中々入らないことが多い。できるだけ、私のほうから紹介するように心がけてきたが、こういう企業に学生の就職がうまく決まってくれたときは、就職担当としては本当に嬉しい思いがする。
3.コミュニケーション能力:
ほとんどの企業が学生に望む能力としてコミュニケーション能力を一番にあげている。これに関しては、以前に何度かこのブログにも書いたので、ご興味があれば参照いただければと思う。
http://sakuraimac.exblog.jp/15347575/
http://sakuraimac.exblog.jp/15565275/
コミュニケーション能力が重要なことに全く異存はないが、企業面接官が実力よりも弁舌のほうを優先するような傾向も多々見られ、私としてはちょっと行き過ぎではないかと疑問に感ずることも多かった。
4.学業・研究への影響について:
就職活動は、3年生の後期と、修士1年生の後期から始まる。この時期になると、学生たちは、就活に必死となり、3年生の授業への出席率は12月頃から急減し、また修士1年生の最も重要な時期に、半年間研究が完全にストップする。
学生にとっては一生の問題なので、教員のほうからもあまり苦言を呈することもできず、半ばあきらめの状態である。
企業が横並びで、一斉に門戸を開くのは日本独特の習慣(悪習)であり、これは何としても改善されるべき問題であると思う。東大が率先して提唱する秋入学制度が、解決策のひとつになるのではないかと大いに期待している。
5.海外志向について:
日本の学生の海外留学が、最近大幅に減少していることが話題となっている。NHKが東大生にインタビューをしたとき、全員が、「海外留学などをするとその間に就活に遅れを取るからやらない。」と答えているのを聞いて、ビックリしてしまった。これでは東大総長が秋入学に熱心になるのもよく分かるような気がする。
一方、企業のほうでは、生産拠点と営業拠点がどんどんと海外に移り、海外志向の人材が大量に必要となってきている。内向きの大学生と、外に出ていかねばならない日本の企業、その間のギャップは深刻な問題である。
6.エレクトロニクス技術者:
本学では、企業からの求人数が一番多い学科は、電気電子工学科である。最近の半導体産業や家電メーカーの業績不振から、エレクトロニクス技術者は需要が減っているのではないかと世の中には思われているかもしれないが、実態は全く異なる。
自動車、機械、化学、金属などのあらゆる製造業の分野において電子化が急速に進み、電機メーカー以外からのエレクトロニクス技術者への求人が非常に増えているのが実状である。(自動車や航空機はもはや機械ではなく電子機器だとも言われている。)
電気電子工学科というと、受験生には最近はそれほど人気がないようだが、この実態はぜひ高校生(とその親)には知っておいてもらいたいと思う。
以上、思いついたことを書いてみたが、やはり日本の将来は、技術立国を維持していくよりほかないのではではないかと感ずる。商業立国、金融立国というのは、農耕民族の日本人には、けっこう難しいのではないだろうか。(もちろん商社などで世界を飛び回って活躍する人もいるだろうが多数派ではないだろう。)
製造業でなくても、IT 分野でもゲームの分野でも、サービス体制の構築でも、全くかまわないと思うが、やはり、技術開発力を生かした新ビジネスの創出が必要であり、そうした分野での新たな起業の支援、人材の配置ということが、日本にとっては重要なのではないかと、この1年を通じて改めて感じた次第である。
by sakuraimac
| 2012-11-28 20:50
| 教育・大学
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