2014年 07月 19日
中竹竜二氏の講演会 |
7/16に、元早稲田大学ラグビー部の監督を務めた中竹竜二氏に、当大学にて講演を行っていただいた。中竹氏は、海外留学の後、三菱総合研究所に勤め、卒業大学の早稲田よりラグビー部の監督就任の要請を受ける。
早稲田はラグビーの名門校であり、カリスマリーダーの清宮監督の元で過去3回の全国制覇を成し遂げていた。
中竹氏は、実績も経験も無く、「日本一オーラの無い監督」と言われながらも、2回の連続全国制覇を成し遂げる。2007年度は戦った試合は全戦全勝。強豪明治には早明戦が始まって以来の最高得点及び最大得点差での勝利という輝かしい戦歴を上げる。
その後は、若手のU20の日本代表監督を務め、最近はコーチを育てることに尽力し、一方では、マネジメントの講演会・研修会では人気を集め、また、企業コンサルタントとしても活躍されている。
中竹氏へのインタビューは下記の、東洋経済誌の記事をご覧いただきたい。
http://toyokeizai.net/articles/-/12574
http://toyokeizai.net/articles/-/12619
ところで、本講演会は、本学の「リーダーシップ特論」というオムニバス形式の講座のひとつであり、中竹氏には7番目に登場していただいた。他の講師の中でも外観はかなり地味なほう(ごく普通の人という感じ)であり、「日本一オーラの無い監督」という世評に思わず納得してしまった。しかしながら、いったんお話を始めると内容は実に魅力的で、学生は大いに盛り上がり、本講座の中でも、学生からの質問が最も多く出ていた。
メンバーと同じ視線に立った、リーダーシップ・フォロワーシップ論は、実に説得力があった。以下、当日の中竹氏のお話から得たメッセージをまとめてみたい。
1.リーダーの自己分析
米国での実験結果として次の報告がある。2つのグループを作り、前者にはリーダーとしてのスキルを教育し、後者には自己分析の訓練のみを施した。その後、組織のマネジメントをやらせて見た結果、リーダーとして成功したのは、後者のグループが圧倒的に優れていた。
まずは自分をよく知ることがリーダーになるための第一歩である。
2.スキルとスタイル
スキルとは専門性であり、(良い悪い、ナンバーワン、点)として特徴付けられる。スタイルとは一貫性であり、(有る無い、オンリーワン、線)として特徴付けられる。
スキルが無くてもリーダーは務められる。リーダーとしてはブレのないスタイルの確立が重要である。特に逆境になったときにそれはそれが大きく物を言う。
3.スタイルとスキル(追加)
スキルとは(得意、専門技術、経験から掴んだもの)、スタイルとは(好きなこと、こだわり、貫いてきたこと)と言うことができる。皆で議論を始めると、スタイルの話のほうに皆の関心は集まり、議論がずっと盛り上がる。
4.リーダーの能力
リーダーはすべての面で優れていなくてはいけないということは全くない。足りない部分は下の人間に補ってもらえばよい。下の者は自分の存在感を認めてもらうということに大きな喜びを感ずる。皆がそういう意識を持つようになると、組織の活性度は大きく上がる。
5.方向性の提示
リーダーの一番の仕事は、ブレのない方向性を示すことである。
6.差と異を区別する
差とは優劣をつけること、異とは違いがあるということ、双方を混同して判断してはいけない。差を付ける必要はないが、違いを十分認識することが重要。
7.好きなことをやる
経営者へのコンサルタントを行っていると、成功している人々は、とにかく好きなことを徹底して追求していることに気付く。色々な条件は計算し尽しているが、結局は、好きだということが事業を成功させる一番の根底にある。
8.末端の知恵を吸い上げる
末端の意見・知恵を学ばないと、判断を誤る。裸の王様にならないためにも、自分の「オーラの無い監督」という評は逆に役だった。重要なのは権威ではなくコミュニケーションである。
9.変化への対応
ブレのないスタイルの確立とともに、時代の変化に合わせて変えていく柔軟性が重要である。
<感想>
指導者のタイプとしては、率先垂範しメンバーに指示を出すタイプのリーダーと、実力はなくともメンバーの自主性引き出し活性化する自立支援型のリーダーの2つがあると思う。(もちろんこの2つを巧みに使い分ける優れた人もいるが)
中竹氏は典型的な後者のタイプであると思われる。
実力指示型のリーダーになるには天性の能力と才能が必要であり、100人いればそれに耐え得るのはおそらく1人くらいしかいないのではないだろうか。だとすれば、残りの99人にとって参考になるのは、天才を賞賛するリーダーシップ論ではなく、中竹氏のような普通の人にも学べる組織活性化リーダーシップ論なのではないかと感ずる。
世の中では、前者に比べて、後者の議論が少なすぎるようにも感ずる。中竹氏のセミナーや研修がビジネスマンに人気なのもよく分かるような気がした。
「2019年日本開催のワールドカップを成功させ、日本代表がベスト8入りする。」という目標を目指して、今後の中竹氏のさらなるご活躍を期待したい。


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<蛇足>
私事で誠に恐縮ですが、中谷氏からお誉めをいただいた氏をお招きするきっかけとなった、私のブログを紹介させてください。お暇があればご一瞥いただければ幸いです。
1.「フォロワーシップとリーダーシップ」
(若き日に最初にチームリーダになったときに感じた疑問です。未だにその思いは変わりません。)
http://sakuraimac.exblog.jp/15331784/
2.「Knife and Handle」
(課長時代の感想です。ずいぶんと色々な方に激賞されました。)
http://sakuraimac.exblog.jp/14668256/
3.「リーダシップについて」
(日本と欧米のリーダシップ違いを実感しました。小笠原先生を本講座にお招きするきっかけともなりました。)
http://sakuraimac.exblog.jp/14860571/
4.「コミュニケーション能力2」
(企業の中間管理職のコミュニケーションについて、就職担当をしていて特に感じたことです。)
http://sakuraimac.exblog.jp/15565275/
5.地位責任と道義的責任
(フォロワーの道義的責任について感ずるところを書いてみました。)
http://sakuraimac.exblog.jp/20203665/
早稲田はラグビーの名門校であり、カリスマリーダーの清宮監督の元で過去3回の全国制覇を成し遂げていた。
中竹氏は、実績も経験も無く、「日本一オーラの無い監督」と言われながらも、2回の連続全国制覇を成し遂げる。2007年度は戦った試合は全戦全勝。強豪明治には早明戦が始まって以来の最高得点及び最大得点差での勝利という輝かしい戦歴を上げる。
その後は、若手のU20の日本代表監督を務め、最近はコーチを育てることに尽力し、一方では、マネジメントの講演会・研修会では人気を集め、また、企業コンサルタントとしても活躍されている。
中竹氏へのインタビューは下記の、東洋経済誌の記事をご覧いただきたい。
http://toyokeizai.net/articles/-/12574
http://toyokeizai.net/articles/-/12619
ところで、本講演会は、本学の「リーダーシップ特論」というオムニバス形式の講座のひとつであり、中竹氏には7番目に登場していただいた。他の講師の中でも外観はかなり地味なほう(ごく普通の人という感じ)であり、「日本一オーラの無い監督」という世評に思わず納得してしまった。しかしながら、いったんお話を始めると内容は実に魅力的で、学生は大いに盛り上がり、本講座の中でも、学生からの質問が最も多く出ていた。
メンバーと同じ視線に立った、リーダーシップ・フォロワーシップ論は、実に説得力があった。以下、当日の中竹氏のお話から得たメッセージをまとめてみたい。
1.リーダーの自己分析
米国での実験結果として次の報告がある。2つのグループを作り、前者にはリーダーとしてのスキルを教育し、後者には自己分析の訓練のみを施した。その後、組織のマネジメントをやらせて見た結果、リーダーとして成功したのは、後者のグループが圧倒的に優れていた。
まずは自分をよく知ることがリーダーになるための第一歩である。
2.スキルとスタイル
スキルとは専門性であり、(良い悪い、ナンバーワン、点)として特徴付けられる。スタイルとは一貫性であり、(有る無い、オンリーワン、線)として特徴付けられる。
スキルが無くてもリーダーは務められる。リーダーとしてはブレのないスタイルの確立が重要である。特に逆境になったときにそれはそれが大きく物を言う。
3.スタイルとスキル(追加)
スキルとは(得意、専門技術、経験から掴んだもの)、スタイルとは(好きなこと、こだわり、貫いてきたこと)と言うことができる。皆で議論を始めると、スタイルの話のほうに皆の関心は集まり、議論がずっと盛り上がる。
4.リーダーの能力
リーダーはすべての面で優れていなくてはいけないということは全くない。足りない部分は下の人間に補ってもらえばよい。下の者は自分の存在感を認めてもらうということに大きな喜びを感ずる。皆がそういう意識を持つようになると、組織の活性度は大きく上がる。
5.方向性の提示
リーダーの一番の仕事は、ブレのない方向性を示すことである。
6.差と異を区別する
差とは優劣をつけること、異とは違いがあるということ、双方を混同して判断してはいけない。差を付ける必要はないが、違いを十分認識することが重要。
7.好きなことをやる
経営者へのコンサルタントを行っていると、成功している人々は、とにかく好きなことを徹底して追求していることに気付く。色々な条件は計算し尽しているが、結局は、好きだということが事業を成功させる一番の根底にある。
8.末端の知恵を吸い上げる
末端の意見・知恵を学ばないと、判断を誤る。裸の王様にならないためにも、自分の「オーラの無い監督」という評は逆に役だった。重要なのは権威ではなくコミュニケーションである。
9.変化への対応
ブレのないスタイルの確立とともに、時代の変化に合わせて変えていく柔軟性が重要である。
<感想>
指導者のタイプとしては、率先垂範しメンバーに指示を出すタイプのリーダーと、実力はなくともメンバーの自主性引き出し活性化する自立支援型のリーダーの2つがあると思う。(もちろんこの2つを巧みに使い分ける優れた人もいるが)
中竹氏は典型的な後者のタイプであると思われる。
実力指示型のリーダーになるには天性の能力と才能が必要であり、100人いればそれに耐え得るのはおそらく1人くらいしかいないのではないだろうか。だとすれば、残りの99人にとって参考になるのは、天才を賞賛するリーダーシップ論ではなく、中竹氏のような普通の人にも学べる組織活性化リーダーシップ論なのではないかと感ずる。
世の中では、前者に比べて、後者の議論が少なすぎるようにも感ずる。中竹氏のセミナーや研修がビジネスマンに人気なのもよく分かるような気がした。
「2019年日本開催のワールドカップを成功させ、日本代表がベスト8入りする。」という目標を目指して、今後の中竹氏のさらなるご活躍を期待したい。


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<蛇足>
私事で誠に恐縮ですが、中谷氏からお誉めをいただいた氏をお招きするきっかけとなった、私のブログを紹介させてください。お暇があればご一瞥いただければ幸いです。
1.「フォロワーシップとリーダーシップ」
(若き日に最初にチームリーダになったときに感じた疑問です。未だにその思いは変わりません。)
http://sakuraimac.exblog.jp/15331784/
2.「Knife and Handle」
(課長時代の感想です。ずいぶんと色々な方に激賞されました。)
http://sakuraimac.exblog.jp/14668256/
3.「リーダシップについて」
(日本と欧米のリーダシップ違いを実感しました。小笠原先生を本講座にお招きするきっかけともなりました。)
http://sakuraimac.exblog.jp/14860571/
4.「コミュニケーション能力2」
(企業の中間管理職のコミュニケーションについて、就職担当をしていて特に感じたことです。)
http://sakuraimac.exblog.jp/15565275/
5.地位責任と道義的責任
(フォロワーの道義的責任について感ずるところを書いてみました。)
http://sakuraimac.exblog.jp/20203665/
by sakuraimac
| 2014-07-19 12:54
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