2015年 03月 20日
錯覚について |
「錯覚」をネットの画像で調べてみると(最近年のせいか文字を読むのが苦痛なので画像でイメージを掴むことが多い)、なるほど、見事に騙し絵のたぐいが並んでいる。まあ、世の中の人々は、「錯覚」という言葉にはこんなイメージを持っているようだ。
その次に、大辞林 第三版のさっかく【錯覚】を見る。
1.事実とは異なるが,そうであるかのように思うこと。思い違い。勘違い。
2.あるものについての知覚が客観的事実と著しく食い違うこと。
事実というのは正確な定義は難しいので、2.と1.を合体して次のように述べてみる。
【錯覚】:客観的事実とは異なるが,そうであるかのように思い違いあるいは勘違いをすること。
これは実に重要なことを言っていると思う。この錯覚のために、どれほどの人が、人生を台無しにして不幸になっているか分からない。
当大学では、チュータ制度といって、各学年をランダムに選んで数名づつ、チュータと呼ばれる先生が成績表を渡して進路指導をするという制度がある。一教員当たり都合20名ほどの各層の学生を指導することとなる。この指導をしてきて気がついた事例をいくつかここで紹介したい。
特に成績の悪い子、正直な子ほど、この錯覚によって致命的な被害を受けていることを、強く感ずる。
①大学院に進学すると良いことがある。(これは錯覚の代表)
大学院に進学して良いことがあるケースは限られる。
・大企業に入って東大・京大・阪大の人々と対等にやれる人
・中堅企業に入って同等のレベルの人々と対等にやっていける人
・実家に経済的余裕がありモラトリアムを楽しむ余裕がある人(その間に専門以外のことも色々学ぶ意思があることが必要)
・特別に勉強や研究が好きな人
これ以外は、大学院に進学して、社会に出るのが2年間遅れることに、全く意味はない。一見大学の方針に反したことを言っているように見えるかもしれないが、よく読んでいただくと決して方針に反してはいないことをご理解いただけると思う。トヨタやJR東海だけが企業ではないのである。
②趣味と仕事は分けねばならない。
これも大きな錯覚。本業で十分やっていける実力のある人は、それで、全く構わない。しかしながら、実力のない人が生き抜いていくためには、何か頼れる武器がなくてはいけない。その武器とまさに自分の趣味である。勉強はダメだけど、これだけは誇れる、そういう趣味(例えば、アニメ制作とか天文観測とかイベント企画とか)なら、力の入れ方が違う。よく探せばそういう才能を求める、小さなスタジオなどたくさんある。この錯覚は実に罪深いものである。
③海外留学などすると就職戦線に乗り遅れる。
これは、テレビで東大生たちが堂々と言っていたので、心底驚いた。もし、私が企業採用担当者だったら、テレビの顔写真を撮っておいて、この学生が来たら真先に落とすだろう。見ていて本当にこれが、最高府の学生が堂々と人前で言う言葉なのかと、絶望的な気分になる。
一年留年すると、企業面接では何故かと必ず聞かれる。そこで「1年間留学してみて、異なる視点の重要性を学びました。また自国の文化を知らないことはとても恥ずかしいことだ痛感しました。」と答えたら、その人は現役層を飛び越えて一番になれることを、学生たちは知らないのだろうか?知らないのだとしたら、進路指導をする我々の責任でもある。
(まさか、大企業の採用担当の皆さん、それでいいなんて思って、学生に間違ったメッセージ送ってはいないでしょうね。日本の将来つぶしますよ。まさかとは思いますが、どれだけ、ご自分たちの何気ない態度が学生に悪影響を与えているか、責任もの凄く重大なことよく自覚してくださいね。)
④人気のない系(学科の中の3つ程度の区分)はダメだ。
これは確率的には嘘とも言えないが、70%が正しくても、30%は正しくない。
例えば、量子力学を上げてみる。これは、20世紀において最も産業に影響を与えた学問である。その証拠に本学の量子力学の講義は11個もある。ところが、発案されてから、約1世紀近くたつにもかかわらず、一番の基礎となるシュレディンガーの波動方程式において、その波動関数の解Ψの物理的な意味の解釈について、最先端の物理学者の間で未だに議論が続いているのである。
2004年の国際物理学会でのアンケート結果では50%が態度未定と回答! こんなバカなことがあるのだろうか。最先端の物理学者が分からないことが、学生が分かる訳がない。こんなに不思議で飛び切りの面白さ満載の学問を、トップツーの系では全く学ぶ機会がないのである。
人気のない系ではしっかりと教えてもらえる。知的好奇心を持っている人なら心の底からワクワクするような話しである。どこに、面白い話が転がっているか分からない。ちなみに、ワクワクした私のブログを下に記しておきます。
http://sakuraimac.exblog.jp/17852239/
以上は進学に関する錯覚の一例であるが、最も手恐いのが①である。皆さんに、安易に一般論化しないように、成績のよい方々は特に注意をしていただくことを切に望みます。
<付記>
ところで、今、気が付いた世の中の錯覚のいくつかを。
1.逃げてはいけない
これ、特にまじめな人には要注意です。ストレスをため込んで、下手したらうつ病になって命を落とす危険性もあります。
会社でえらくなる人をよく観察してみるべきです。まず、宴会抜けるのが実にうまい。ご自分のオーラ消して、知らぬ間にいなくなっている。あのノウハウは学ぶべきです。地位があがった場合、危険を察知すると目立たないように消える。目立つと逃げたと言われるので目立たないようにすっと消える。逃げ損ねた人はマスコミにたたかれて一人で悪者にされて人生終わる。
ここまで言えば、「逃げてはいけない」という言葉が錯覚であることは明らかでありましょう。
2.言い訳はいけない
私は、学生に「何でこんなに成績悪いの?思い切り言い訳してみて。」と聞きます。きちんと言い訳ができた人は評価する。勉強できなかった理由を述べて、「それを解決して自分はこれから勉強に注力する。」と言ってくれれば、評価します。成績が悪い理由を提示してくれない場合は、どんなに頑張りますと意欲表明されても信用できる根拠がありません。人間不信とかそういう問題ではなく、信用するに足る根拠があるかないかの単純な問題です。
ということを考えると、きちんと説得力ある言い訳を言えるということは、すごく重要なことだと思います。
なお、これは、頭のいい人には不要な助言であります。妙にそこだけの能力を磨かれても、世の中の迷惑になるだけだと思うので、話は別です。
3.ゴマスリはいけない
ゴマスリという語感がよくないのですが、これを、「相手をいい気分にさせて目的を達成する」と言い換えてみてはどうでしょうか? そう営業の極意ですよね。これ、ガールフレンドを得るのと同じ原理ですよね。
豊臣秀吉はこの才能において天才的だった訳ですよね。
何故、ゴマスリの語感が悪いかと言うと、それを人前でやると、周りの人には見苦しくて不愉快だとうことだけなのですよね。要するに目立たないようにこっそりやれと、言っているだけなのですよね。
これを、まじめな人は、「相手をいい気分にさせて目的を達成する」ということ自体を否定的にとらえてしまいます。典型的な錯覚を与える言葉です。罪なことです。そして、頭のよい人には不要な助言であることも同じです。
他に、何かあれば募集いたします。
その次に、大辞林 第三版のさっかく【錯覚】を見る。
1.事実とは異なるが,そうであるかのように思うこと。思い違い。勘違い。
2.あるものについての知覚が客観的事実と著しく食い違うこと。
事実というのは正確な定義は難しいので、2.と1.を合体して次のように述べてみる。
【錯覚】:客観的事実とは異なるが,そうであるかのように思い違いあるいは勘違いをすること。
これは実に重要なことを言っていると思う。この錯覚のために、どれほどの人が、人生を台無しにして不幸になっているか分からない。
当大学では、チュータ制度といって、各学年をランダムに選んで数名づつ、チュータと呼ばれる先生が成績表を渡して進路指導をするという制度がある。一教員当たり都合20名ほどの各層の学生を指導することとなる。この指導をしてきて気がついた事例をいくつかここで紹介したい。
特に成績の悪い子、正直な子ほど、この錯覚によって致命的な被害を受けていることを、強く感ずる。
①大学院に進学すると良いことがある。(これは錯覚の代表)
大学院に進学して良いことがあるケースは限られる。
・大企業に入って東大・京大・阪大の人々と対等にやれる人
・中堅企業に入って同等のレベルの人々と対等にやっていける人
・実家に経済的余裕がありモラトリアムを楽しむ余裕がある人(その間に専門以外のことも色々学ぶ意思があることが必要)
・特別に勉強や研究が好きな人
これ以外は、大学院に進学して、社会に出るのが2年間遅れることに、全く意味はない。一見大学の方針に反したことを言っているように見えるかもしれないが、よく読んでいただくと決して方針に反してはいないことをご理解いただけると思う。トヨタやJR東海だけが企業ではないのである。
②趣味と仕事は分けねばならない。
これも大きな錯覚。本業で十分やっていける実力のある人は、それで、全く構わない。しかしながら、実力のない人が生き抜いていくためには、何か頼れる武器がなくてはいけない。その武器とまさに自分の趣味である。勉強はダメだけど、これだけは誇れる、そういう趣味(例えば、アニメ制作とか天文観測とかイベント企画とか)なら、力の入れ方が違う。よく探せばそういう才能を求める、小さなスタジオなどたくさんある。この錯覚は実に罪深いものである。
③海外留学などすると就職戦線に乗り遅れる。
これは、テレビで東大生たちが堂々と言っていたので、心底驚いた。もし、私が企業採用担当者だったら、テレビの顔写真を撮っておいて、この学生が来たら真先に落とすだろう。見ていて本当にこれが、最高府の学生が堂々と人前で言う言葉なのかと、絶望的な気分になる。
一年留年すると、企業面接では何故かと必ず聞かれる。そこで「1年間留学してみて、異なる視点の重要性を学びました。また自国の文化を知らないことはとても恥ずかしいことだ痛感しました。」と答えたら、その人は現役層を飛び越えて一番になれることを、学生たちは知らないのだろうか?知らないのだとしたら、進路指導をする我々の責任でもある。
(まさか、大企業の採用担当の皆さん、それでいいなんて思って、学生に間違ったメッセージ送ってはいないでしょうね。日本の将来つぶしますよ。まさかとは思いますが、どれだけ、ご自分たちの何気ない態度が学生に悪影響を与えているか、責任もの凄く重大なことよく自覚してくださいね。)
④人気のない系(学科の中の3つ程度の区分)はダメだ。
これは確率的には嘘とも言えないが、70%が正しくても、30%は正しくない。
例えば、量子力学を上げてみる。これは、20世紀において最も産業に影響を与えた学問である。その証拠に本学の量子力学の講義は11個もある。ところが、発案されてから、約1世紀近くたつにもかかわらず、一番の基礎となるシュレディンガーの波動方程式において、その波動関数の解Ψの物理的な意味の解釈について、最先端の物理学者の間で未だに議論が続いているのである。
2004年の国際物理学会でのアンケート結果では50%が態度未定と回答! こんなバカなことがあるのだろうか。最先端の物理学者が分からないことが、学生が分かる訳がない。こんなに不思議で飛び切りの面白さ満載の学問を、トップツーの系では全く学ぶ機会がないのである。
人気のない系ではしっかりと教えてもらえる。知的好奇心を持っている人なら心の底からワクワクするような話しである。どこに、面白い話が転がっているか分からない。ちなみに、ワクワクした私のブログを下に記しておきます。
http://sakuraimac.exblog.jp/17852239/
以上は進学に関する錯覚の一例であるが、最も手恐いのが①である。皆さんに、安易に一般論化しないように、成績のよい方々は特に注意をしていただくことを切に望みます。
<付記>
ところで、今、気が付いた世の中の錯覚のいくつかを。
1.逃げてはいけない
これ、特にまじめな人には要注意です。ストレスをため込んで、下手したらうつ病になって命を落とす危険性もあります。
会社でえらくなる人をよく観察してみるべきです。まず、宴会抜けるのが実にうまい。ご自分のオーラ消して、知らぬ間にいなくなっている。あのノウハウは学ぶべきです。地位があがった場合、危険を察知すると目立たないように消える。目立つと逃げたと言われるので目立たないようにすっと消える。逃げ損ねた人はマスコミにたたかれて一人で悪者にされて人生終わる。
ここまで言えば、「逃げてはいけない」という言葉が錯覚であることは明らかでありましょう。
2.言い訳はいけない
私は、学生に「何でこんなに成績悪いの?思い切り言い訳してみて。」と聞きます。きちんと言い訳ができた人は評価する。勉強できなかった理由を述べて、「それを解決して自分はこれから勉強に注力する。」と言ってくれれば、評価します。成績が悪い理由を提示してくれない場合は、どんなに頑張りますと意欲表明されても信用できる根拠がありません。人間不信とかそういう問題ではなく、信用するに足る根拠があるかないかの単純な問題です。
ということを考えると、きちんと説得力ある言い訳を言えるということは、すごく重要なことだと思います。
なお、これは、頭のいい人には不要な助言であります。妙にそこだけの能力を磨かれても、世の中の迷惑になるだけだと思うので、話は別です。
3.ゴマスリはいけない
ゴマスリという語感がよくないのですが、これを、「相手をいい気分にさせて目的を達成する」と言い換えてみてはどうでしょうか? そう営業の極意ですよね。これ、ガールフレンドを得るのと同じ原理ですよね。
豊臣秀吉はこの才能において天才的だった訳ですよね。
何故、ゴマスリの語感が悪いかと言うと、それを人前でやると、周りの人には見苦しくて不愉快だとうことだけなのですよね。要するに目立たないようにこっそりやれと、言っているだけなのですよね。
これを、まじめな人は、「相手をいい気分にさせて目的を達成する」ということ自体を否定的にとらえてしまいます。典型的な錯覚を与える言葉です。罪なことです。そして、頭のよい人には不要な助言であることも同じです。
他に、何かあれば募集いたします。
by sakuraimac
| 2015-03-20 17:34
| 教育・大学
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Comments(3)
医者は、土曜日休みの方が少数派では?私が通院する病院も、歯科も眼科も、休みは木曜日である。
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あれっ?医者の土曜休みの話がなくなっている。錯覚?
ハイ、自分のお医者さん、カード見たら、皆、土曜OKになってました。私の勘違いでしたので、差し替えました。注意ありがとうございます。

