ウクライナ戦争 |
ロシアがウクライナに侵攻してから1ヶ月が経つ。早々にウクライナが降伏しロシアの傀儡政権が樹立されることと想像していたのだが、予想外にウクライナが善戦してロシア軍がモタついているようだ。戦争が長引くとこの先どうなるかは予断を許さない。
ロシアは過去に仏のナポレオンに侵攻されて700万人、独のヒトラーに侵攻されて2-3000万人の犠牲を出した。西からの攻撃には神経質にならざるを得ない歴史を持っている。第二次大戦が終わったあと、ソ連は西欧と間に緩衝地帯を設けた。それが東欧諸国である。西欧諸国と米国はソ連の共産主義の拡大を防ぐために1949年に北大西洋条約機構(NATO)を結成した。これに対抗してソ連と東欧諸国はワルシャワ条約機構(WTO)を1955年に結成した。
1991年ソ連邦が解体されたとき、WTOは解消されたがNATOは残った。そのとき、ロシアはNATOが現状以上に拡大しないようにと西欧諸国と約束をした。ただこの約束は明文化されていなかったので、プーチン大統領は約束はあったと主張し、欧米は無かったと主張しており、今となってはどちらが正しいのかは不明となっている。
いずれにしても、プーチン大統領にしてみれば、旧同盟国であった東欧諸国がどんどんNATOに加盟してロシアを包囲してゆく有様を見て、何とかしなければという強いあせりを感じていたのは間違いない。
そうした中、こともあろうに最後の友好国であるウクライナに、親欧米であるゼレンスキー政権ができて、NATO加盟へ動き出した。もしNATOがウクライナに軍備を配置すれば、それはモスクワを直接狙う匕首のようなものとなる。プーチン大統領としては決して看過できない事態である。(キューバ危機のときの状況とどこか似ている。)この国家安全保障の脅威に対するには、ウクライナを武力で押さえつけるほかないとプーチン大統領は侵攻を決断したのだろう。
現在、ロシア測が表明している停戦の条件は、下記のようなものとなっている。
① 中立化(NATO非加盟)
② 非軍事化(武装解除)
③ クリミヤの併合承認
④ 東部2州ルガンスクとドネツクの独立承認
キエフが陥落するかどうかにもよるが、①と③はウクライナが諦めて、②と④はロシアが諦めるというところが、妥当なところかもしれない。ただ、攻勢にあるロシアは④は妥協しないかもしれない。
キエフが陥落するまでは、もうしばらく戦闘は続くようだが、その間に不測の事態が起きて戦火が広がらないことを祈るのみである。
注)ロシアの侵攻が開始されたのは2022-2-24
<追記1>欧州が平穏であるためにはロシアと西欧諸国との間に緩衝地帯が必要のようだ。その役目を果たすべきウクライナに援助を出して親欧米政権を樹立させ、ロシアを無用に刺激した米国の責任は大きい。ウクライナを西側につけることは欧米諸国には全く必要ないことなのだ。米国は対中政策に専念して欧州からは手を引くべきだと思う。
<追記2>東欧諸国が次々とNATOに加盟していった背景には過去にロシアから侵略・抑圧された経験がありロシアに嫌悪感をいだいていることがあげられる。バルト3国、ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリーなど。ウクライナについていえば、西側が欧州への回帰志向であり東側が親ロシア的という難しい状態にある。プーチンは全土を掌握するというよりは東部を支配下におくこと注力するに違いない。
<追記3>ウクライナでは1932~1933にホロドモールと呼ばれる大惨劇があった。スターリンが、ウクライナの富農を追放し過大な農作物の徴収を行ったため、数百万人が餓死するという民族大虐殺である。これがウクライナの反ロシアの源流となっている。ナチスドイツがソ連に侵攻してきたとき、反ロシアの精神はナチスをロシアの圧政から救ってくれる救世主と見なして大歓迎した。ウクライナ・ナチスはユダヤ人を虐殺しただけでなく、ロシア人も虐殺した。プーチンがネオナチスに神経をとがらせているのはこのためである。


